第356話 【この世全ての悪心】の能力⑦

(なんだ...? 何も聞こえない。何も見えない。)


 だが、確かに聞こえる...。


 俺の中にある本心の声が!!!


(殺せ! 壊せ! 憎い者全てを...!)


 憎い者...。


 それはクズ王を置いて他ならない!


(俺は奴を...殺す...! この世から確実に...。苦しめながらゆっくり時間をかけて...! この世全ての絶望を味あわせてやるんだ!)


 俺はゆっくりとそう呟くと怒りの咆哮を上げる。


「グアァァァァ!!!!!」


 まるで獣のような咆哮を上げる俺の身を怒りの炎が包み込む...。


(焼けるように熱い...! この怒りを誰に向ければ良い?)


 〈そんなのは簡単だよ〉


 頭の中に声が流れる。


 〈あの緑髪の娘。あの子を殺せば良いんだよ。あの子が全ての元凶。貴方の心をグチャグチャにした張本人。あの子さえこの世から存在しなくなればカズ君は幸せになれる〉


(幸せ...?)


 〈そう、幸せ〉


(幸せ...!)


 〈クスッ。良い反応だよカズ君♡ 幸せが欲しいのなら目の前のクズを叩きのめしましょう。他ならぬカズ君の為に♡〉


 俺の背中をこの声が後押ししてくれる。


 そう、俺は目の前の緑髪の娘を始末すれば良いのだ。


 俺は凄まじい声を上げながら目の前にいる緑髪の少女に襲い掛かるのだった。

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