第355話 【この世全ての悪心】の能力⑥
俺がこの場にいる襲ってきた奴ら全員にデバフをかけ続けてしばらくが経った頃になってようやく優樹達が俺たちの前に現れた。
「和希!?」
「【回復術師】様! ご無事でしたか!」
リュートが優樹に近寄り今までに起きたことを全て伝える。
すると...。
「おいっ! 和希!!!」
何故か優樹ではなくケロナが俺に叫び声を上げた。
「なんだケロナ。今の俺はすごく気分が良いんだ...。そう、なんでも出来そうなほどにな...。だから今はこのお遊びを邪魔しないでくれ」
そう言いながら死なない程度に襲ってきた連中に苦しみを与える行為にケロナが意義を唱える。
「和希...! あんたが今持っているその杖は何!?」
「ああ、俺の杖だよ。何か問題でもあるか?」
「そうじゃなくて! 私との約束を忘れたのかって聞いてるんだ!」
そう言いながら俺の胸ぐらを掴んでくるケロナ。
「ケロナやめておけ」
俺がそう呟くと、彼女はペナルティを受ける。
全身に呪いのアザが浮かびあがり、彼女のステータスを40%低下させる。
「絶対にやめない!」
そう言いながら俺の頬を思いっきり1発ぶん殴った。
いくら闇の衣を纏っている今の俺でも、流石にケロナの拳は重い。
しかし、その一撃を加えただけで彼女は満身創痍になる程の疲労感を表情に浮かべていた。
「和希...! あなたのその杖、以前よりもさらに禍々しくなってない?」
「...ああ。そうだな。これは俺の心の写し鏡。言わば俺の半身だ。そんな俺がお前を拒絶した。ただそれだけの話だ。もう良いか? 俺は今こいつらで遊んでいるんだよ。これ以上邪魔をするならいくら命の恩人のお前でも...
そう呟く俺に優樹が呟いた。
「...おかしいよ」
「なんだ優樹? お前も俺を止めるのか? ただ遊んでいるだけの俺を?」
「...人の命を弄んで楽しむなんて和希らしくない。お願い、その杖をしまって」
「...」
俺は一瞬自分の手の中にある杖をしまおうとしたが...。
〈それをしまっちゃダメ。カズ君は今まで頑張ってきたんだからさ。今くらい楽しんでも良いんだよ♡ 邪魔する奴は皆
「またあの子の声だ...」
「あの子? 和希? あなた一体誰のことを言っているの?」
不安そうに俺の事を見てくる優樹に俺は答える。
「優樹とは違って俺の事を全肯定してくれる良い子の声さ。ああ...、もう面倒さいな。何かを背負うのも何かを守るのも全部! 全部!! 全部!!! 面倒くさい!!! どうせ誰も俺のことなんか認めやしない! 俺がいなきゃ全員第2の戦争で死んでいた! 第3も第4も同じだ! なのにこの世界の連中ときたら誰も感謝しやがらねぇ!!! もう良いや、こんな世界...
『EXスキル【破壊の杖】と【破壊神の心境】を会得しました。【
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます