第327話 いつもの髪型

「俺はいつもの髪型でいいと思うよ。◯◯はいつもの髪型が1番似合ってるからさ」


 その言葉にムスッとする彼女。


「私に遠慮なんかしなくていいよ? カズ君の頼みならショートカットも試してみるし、なんなら髪の毛なんて要らないから」


「いやいや、女子が髪の毛いらないっておかしいだろ! 俺は髪の長い人も好きだからな!」


「本当!? だったらもうちょっと伸ばしたほうが良い!?」


「いやいや、流石に腰から先まで行ったらまずいだろ! そうだな。今くらいで丁度いいんじゃないか? そのくらいの髪型ならいつでも髪型変更できるし、また見てみたい髪型があったら言うよ!」


 その言葉に彼女は歓喜しているようだった。


「うん! 分かった! カズ君の頼みだもん! このくらいの髪の長さを維持するね!」


 彼女はそう呟くと満面の笑みで俺に返してくる。


 ...あれ? なんで顔が見えないのに満面の笑みだって分かるんだ?


 やはりどうにもこの夢はおかしい...。


 なんか段々と頭が痛くなってきた...。


「カズ君? カズ君!!!」


「頭が...!」


 俺はその場に疼くまりうなされていた。


 どんどん激しくなる頭痛に俺はこう声を漏らす。


「...あぁ、ゆ...み...?」


 俺がその言葉を漏らした瞬間、ほんの少しだけ彼女の表情が和らいだような気がした。

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