第326話 頻繁に見る同じ夢

 明日で新大陸に着く...。


 その夜だった。


 夢を見た。


 またあの夢だ。


 優樹が俺のせいで溺れてしまい、その後に母さんに助けられる夢。


 前後こそ若干の変更点があるが、基本的に同じ内容だ。


(なんで最近この夢ばっかり見るのだろう?)


 分からない。


 大体同じ夢をこうも頻繁に見るものなのだろうか?


 そして何度もあの少女と出会う。


「カズ君! カズ君? カズ君♡」


 一緒に勉強したり遊んだり愚痴を言い合ったりする謎の少女。


 何度も俺の名前を呼びながらデレてくる様は俺の事を好いているようにしか見えないが、依然として髪の色と声くらいしか正確に判断できない。


 顔を何度見てもモヤがかかったように見えないのだ。


「お前は...誰だ?」


 俺がそう聞くと彼女は笑って答える。


「ええ〜? もうやだな〜。毎日会ってるクラスメイトの名前も忘れちゃったの? 私の名前は◯◯◯◯カズ君のクラスメイトだよ」


 やっぱり奴の名前を聞くとノイズが走る。


 ならばとクラス名簿や靴箱を見てみても名前の部分に黒い線が書かれていて邪魔してくる。


「何なんだよ、この夢は...」


 頻繁に同じ夢をみると流石に気持ちが悪くなってきてしょうがない。


 それでも夢の中の彼女は会う度に本当に嬉しそうにしていた。


 今度は夕暮れ時の帰り道に場面が移転する。


「カズ君はさ、優樹の何が良いの?」


「優樹の何が良い? どう言う意味だ?」


「ううん、深い意味はないんだ。何? ポニテ萌えなの? だったら私もポニテにしようかなって思ってさ」


「...いや別に俺はポニテ萌えじゃないから」


「そう...、だったらカズ君は私にどんな髪型をして欲しいの?」


「えっ?」


「いやさ、最近髪の毛伸びてきちゃったからちょっとカットしようかなって思ってさ」


 確かに彼女の髪は今腰の辺りまで伸びてきている。


 そろそろ髪を切った方がいいだろう。


「そうだな」


「じゃあさ、カズ君の希望は何?」


 グイグイとくる彼女に俺はこう答えるのでした。

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