第322話 優樹への想い③

「優樹と結婚...か」


 その事を考えると正直悪い気はしない。


 多分問題は沢山出てくるだろうけど、彼女となら上手いことやっていけそうな気がするからだ。


 お互いに譲れる部分は譲り合い、譲れない部分は言い合う事ができる良い関係の夫婦になれそうな気がする。


 俺のダメな点をはっきりと言葉にして言ってくれる優樹だからこそ、俺は安心して彼女の助言に耳を傾けられるのだ。


 しかしながら、それだと魔王軍との戦争を先におわらせなければならない。


 結婚なんてして優樹が子を身籠ってしまったら戦えなくなってしまうからな。


【回復術師】の支援魔法無しで戦争を生き残れるとは到底思えない。


 優樹には悪いが結婚なんて物は大分先になるだろうな。


 ハハッと静かに笑いながら俺は窓の外を見つめる。


 穏やかな夜の海を眺めていると自然と心が安らぐようだ。


「さてと、余計な事は一度頭の中から排除して次の戦争について考えないとな」


 そう思いながら戦争の起きた場所を思い返す。


「最初はクリステーナ王国の砦だったな。次はルーリエッタ。そして3回目はカリュート村。そして4回目が...アルセージ...」


 そこまで思い返すとクリスティーナ王国での戦闘が多いと思う。


 いや、と言うか魔王軍との戦闘だと勇者達はクリスティーナ王に説明されたそうだが、どうにも魔王と言うには統制が取れていないような気がする...。


 どちらかと言うとこの4度の戦争で感じたのは自然に発生した凶暴な魔物達が襲い掛かってくるという感じだった。


「まさかとは思うがあのクズ王、俺以外の勇者にも本当の事を隠しているんじゃないか?」


 なんだか戦争で出会う魔物のほぼ全てが統制された軍というよりは野生の群れのように感じるのだ。


 勿論アル子フワンリィカは別だが、それ以外の魔物の殆どに知性を感じられなかったのである。


「...戦争について調べてみる必要があるな」


 そう思った俺はリュートの部屋に向かうのだった。

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