第323話 戦争について

 俺がリュートとの部屋に向かうと笑顔で出迎えてくれる。


「【弱体術師】様? どうしましたかこんな夜更けに私の所に来られるなんて」


「ああ、ちょっと魔王軍との戦争について聞きたい事があってな」


 こいつはあのクズ王の騎士団の団長だ。


 正直言ってまだ信用していないが、クズ王よりかはまだ話ができる奴だと思っている。


 だから一応ダメ元で聞いてみるのだ。


「...わかりました。私に話せる事であればなんでも聞いてください」


「分かった、では早速聞かせてもらおうか。まず戦争ってなんだ?」


「戦争とは魔王が勇者達に決められた時間を指定して総力戦を行う文字通りの戦争です。当然あちらも本気でこちらを殺しにくるので魔王軍に情けは無用ですよ」


 と彼は答えるのだが...。


「では聞くが、最初から4回目の戦争の時にお前達は何をしていた?」


「以前お答えしましたが異国との戦争に駆り出されていました」


「...解せないな。自国の防衛よりも他国の侵略を優先したのか?」


「...そう言うことになりますね」


「お前達はそれで良かったのか?」


「...それが王の指令だったので」


「なんだ? いつもの元気がないように見えるが?」


「...」


 彼は一度黙ってからこう返してきた。


「いえ、大丈夫です。続けてください」


「そうか、ならば続けて問う。なぜ魔王軍は戦争のない通常時に攻め入ってこないんだ?」


 そう、これが俺が感じていた1番の不可解な点だ。


 正直戦争なんて一度宣戦布告してしまえば後はどう行動しようと問題ないはずだ。


 勿論使用禁止の兵器などはあるだろうが、そんな条約が魔物に通用するか不明だしな。


「それは...、条約で決められているからだと...」


「そうか、ならば魔王とやらは条約を理解するだけの知性があるんだな?」


「...それは」


「続けて問う、リュート。お前は【魔王】と言う存在を見たことがあるのか? そもそも存在を確認しているのか? まさかだとは思うが俺たち勇者を戦わせる為にていの良い言葉を並べているだけじゃないだろうな?」


 俺の質問責めにたじたじになっている彼だったが、最後の質問にはちゃんと答えてくれるのでした。

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