第291話 極上のディナー③
草食龍のステーキを頬張ったラカラが妙な顔をした。
「あれっ...? 美味しいけど...、ちょっと違う?」
ラカラの言いたい事は分かる。
実際このステーキ自体は美味い。
普通に店で売っていてもおかしくないし、なんならこう言う場所に出しても恥ずかしくない味なのだが...。
「...やっぱりな」
俺はカタンとナイフとフォークをテーブルに置いた。
俺たちの行動に今日この料理を担当したであろうシェフが出てきくる。
「どうかいたしましたか? 何かお食事に不備でも!?」
「いや...不備はないんだが...」
俺はケロナの方を見る。
「約1名半ギレ状態のうちの料理人がいるんでな」
バンっ! とテーブルを叩き割りかねない程の怒りを露わにするケロナ。
「あんたか!? この不出来な料理を私達に提供したのは!」
ケロナの声に一歩後ずさる彼の表情は焦りを露わにしていた。
「最初のオードブルから思っていたんだけど、はっきり言って食べる人のことを全く考えていなかったよね?」
「いえ...そのような事は...」
「じゃあなんで子供であるラカラにも私達と同じ大人用のメニューを出したの? 案の定彼女は殆どの料理を残しちゃってるよね」
そう、全ての料理が完全に大人用の料理であり俺らくらいの歳でも厳しい物があった。
正直言ってラカラやシュナにも合わないだろう。
そう言った配慮がこのコース料理からは一切見受けられないのだ。
「...食事のプロが作ったからと聞いて期待していた私が馬鹿だった」
ケロナはシェフを後にしてスタスタと歩いていく。
「あの...どちらへ?」
「決まっているでしょう? 料理の素人である私が貴方達の作った料理がいかに不出来かを教える為にこのコース料理と全く同じメニューを作りより良い物にして見せましょう」
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