第292話 極上のディナー④

 俺たちがしばらく待っていると、ウェイターの一人がケロナの作った料理を運んできた。


「お待たせしました。これがケロナ様の作ったオードブルのレイカルアの酢物になります」


 またあの葉っぱだけのオードブルが並んだのでラカラが嫌そな顔をしていた。


「兄ちゃん! この葉っぱ酸っぱいから食べたくないよ!」


 ブーブー文句を言うラカに俺はこう言った。


「ラカラ、ケロナを信じられないか?」


「そ...それは」


「信じられるのなら食べてみろ」


 俺はそれだけ呟くとあのめっちゃ酸っぱい前菜を食べる。


 葉っぱを綺麗に切り分けてから少し口に含むと...!


「これは!!!」


 確かに同じような味ではあるが、酢がかなり抑えられているしほのかに甘味もある。


 先ほど同じ物のはずなのに、全く別物のような気がしてならない!


「「美味い!!!」」


 あれだけ痛がっていたラカラと俺は同調したかのように美味い! と同時に叫ぶ。


「さっきの葉っぱと見た目は同じなのにすごく美味しい! あんまり酸っぱくないしなんならちょっと甘いくらいかな?」


 ラカラの言う通りで確かに先ほどよりもほんのり甘いと感じている。


 ただ、酸っぱさも完全に消えてはおらず、前菜としてはこれ以上のない出来に仕上がっていると思う。


 これを食べた俺たちは食欲が増進した!


「続きましてケロナ様が作ったコロハガニのハサミ添えスープにございます」


 先ほどと全く同じ見た目のスープが出てくるのだが、若干キラキラ輝いているように見えた。


「すごい! さっきと同じスープのはずなのに綺麗に見える!」


 俺とラカラは一気にスープを啜った!


 先ほどの淡白な味わいは同じなのだが、後味が違いすぎた。


 なんだろうか。飲むまでは同じでは飲み終わった後にカニの旨味が喉を通って全身に伝わるような...、説明はし辛いがそんな感じだ。


「か〜...! やっぱうめぇ!!」


明らかにおかしい反応を見せるラカラにシェフ達の表情が険しくなっていくのが分かるのだが、実際ケロナの作った料理の方が美味いのだから仕方ないだろう。


さあ、次は三品目だ...。

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