第249話 悪夢

「和希! 起きなよ!」


「...」


「和希!!!」


 俺は幼馴染の声によって目覚める。


「優樹...か?」


「もうっ! もう夜だよ!? いつまで寝る気なの!? 大体一日中寝ちゃうなんて和希らしくないよ!!」


 聞き慣れた声に俺は思わず涙を流していた。


「どうしたの和希?」


「えっ? ああ悪い、なんか涙が出てた」


「へ〜んなの」


 ジト目で見てくる彼女に俺はこう呟いた。


「なあ、小学生の頃優樹と俺ともう1人仲の良かった子がいただろ? あの子の名前を覚えていないか?」


 俺の質問に優樹は首を傾げる。


「えっ? そんな子いたっけ?」


「ああ、いただろ? ピンク髪で結構可愛かった子がさ!」


「う〜ん...? 小学校の頃だよね?」


「ああ!」


? そんな子」


 その言葉に俺は思わず「はっ!?」と声を出す。


「そんな訳ないだろ? ほらっ! 小学校の頃毎年のように海で一緒に遊んでた子だよ!」


 俺の言葉に彼女はやはり首を傾げている。


「う〜ん? 夏休みだよね? 和希の母さんと和希と一緒に遊んでいた事は覚えているけど、そこにもう1人いた事は思い出せないな」


「そんなはずないだろ!? もう1人いたって! ほら! 砂場で一緒にお城とか言って山を作ってただろ!?」


「それも私と和希だよね?」


「だ〜か〜ら! その子が水で砂を固めて砲台の弾を作ったんだよ!」


「その提案したの私だよ? もしかして和希おかしくなっちゃった? もうちょっと休む?」


 どうやら優樹は本当に彼女のことを覚えていないようだ。


「本当に覚えていないのか?」


「覚えてない。ごめんね」


(何で優樹が彼女の事を覚えていないんだ?)


俺はそう思いながらもう一度よく考えてみるのでした。


『マイナススキル【苦い思い出】【過去の記憶】【トラウマ】【◯◯の愛】を取得しました』

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