第248話 夏休み④
母さんの車で帰る中、俺と優樹と◯◯は一緒に座っていた。
俺を真ん中に挟んで2人が今日のことを次々と話して来年の事も話していた。
「おいおい、もう来年の話かよ」
俺の言葉に◯◯が呟く。
「うん、だって来年も再来年も、できればずっとカズ君と一緒に海に行きたいな...」
「◯◯?」
俺の言葉に彼女はニッコリ答える。
「だからさ、来年も再来年も未来までもずっとずっと一緒にいよう! カズ君♡」
「◯◯? ちょっと近いぞ?」
俺は思わず彼女から遠ざかり優樹の方に向かう。
「ちょっと和希! こっちにばっかり来ないでよ!」
「だって◯◯が推してくるんだもん!」
「ねぇ、カズ君、優樹よりも私の方がいいよね?」
「何言ってんだお前、お前と優樹を比べることなんてできるかよ!」
その言葉に彼女がさらに推してくる。
「ねぇ、私の方が優樹よりも頭良いよ? それに自慢じゃないけど可愛いし、カズ君になら何を命令されたって良いよ?」
だんだんと◯◯の表情が怖くなってきた俺は思わずこう声を出した。
「◯◯? ちょっと今のお前怖いぞ?」
「...」
「◯◯?」
「ねぇ、カズ君。できれば優樹よりも私の事を見てほしいな。ううん、私の事だけを見て欲しい」
そう言いながら濡れた水着姿のまま俺に迫ってくる。
「おいバカっ! やめろって!」
そのまま水着のヒモを自ら解いて地肌を晒す彼女が俺を抱きしめてくる。
狭い自動車の中なので抵抗できない。
「ふふっ♡ カズ君可愛い♡」
ペロッと俺の耳を軽く舐めてくる彼女は「カズ君の耳、塩の味がするね♡」などと言いながら無理やり迫ってくるのだ。
「そりゃそうだろ! 海に行ってきたばかりなんだから!」
俺のツッコミを聞いていない様子の彼女はさらに強引な手で俺に迫ってくる!
「わっ! バカっ! それ以上はやめろ!!! 優樹も黙ってないで何か言ってやれ!!!」
俺が優樹の方を向いてみると、そこには優樹の姿がなかった。
いや、いつのまにか自動車の中ですらなかったのだ。
何かおかしいぞ? そう気がついた時に◯◯が俺に掴みかかってきた。
「カズ君♡ 大好きだよ♡」
その言葉を聞いた俺は背中にゾクっとするような悪寒が走った!
本能でコイツはやばいと実感した瞬間に聞き覚えのある声が聞こえてくるのでした。
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