第196話 フワン

 青い髪を持つ白羽を持つ女性の登場に俺たちは唖然としていた。


「リィカじゃない!?」


 その言葉に反応するそいつ。


「リィカはあの方に仕える者の1人...」


「あの方...?」


「そして私もその1人、名はフワン。貴方達を消しにきた」


 その言葉に俺は背筋が凍った!


『新たな敵が現れました。危険を排除もしくは危険から遠ざかってください00:05:00』


 あの時とは違ってメニュー画面に目的が描かれているのはありがたい。


 それにこいつもリィカの仲間らしいから今のうちに倒せたらかなり大きいだろう。


 大きく翼を広げて羽を飛ばしてくる奴の動きには無駄がない!


「皆! 私の後ろに隠れて! 【大防御】【魔力壁】【庇う】【光の盾】【水の盾】!!」


 大防御で受けるダメージを極限にまで減らしてから【魔力壁】【光の盾】【水の盾】による三重盾で更にダメージを減らす。


 そして【庇う】のスキルで皆の前に立ち塞がるのだった!


「【幻影盾】!」


 俺も一応盾を展開する。


「【勇者の盾】!」


「【炎と水の壁】!!」


 佐藤と石川も防御用の魔法を展開したようだ。


 奴の羽が俺たちに襲い掛かると次々に盾が壊されていく。


 まず最初に俺の【幻影盾】が壊され、次に佐藤の【勇者の盾】が消えた!


「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」


 見事なまでに吹っ飛ばされる佐藤を俺は見ながらも前にいるフワンの恐ろしさに気付かされる。


(レベル63の佐藤があんなにあっさりと...)


 その事実が奴の強さを結論づけていた。


(こいつ...もしかしてリィカよりも強いのか!?)


 そう思ってうると羽の雨はやんだ。


「あら、まだ生きているのね」


「ふん! その程度でレベル70代の俺を倒せると思うなよ!」


 そう良いながら【デーモン・ハンド】を放つ石川。


「【デーモン・ハンド】...。暗黒属性上級の魔法ですが...、使い手がこうもあれだとこんなものですかね」


 彼女は悪魔の手に触れるや否や魔法自体をかき消してしまった。


「なっ!?」


「今度はこちらの番ですね。本物の魔法をお見せしましょう【水氷の獄】!」


 彼女の詠唱速度はとてつもなく早い! とてもじゃないが詠唱を邪魔する事などできないだろう。


 しかも威力と範囲も尋常ではなかった!


 凄まじく冷たい氷の牢獄が建設され、その中で俺たちは切り刻まれる!


「ぐはっ!」


「きゃあ!!!」


「ぐっ..!」


「うわっ!!」


「皆さん! 私の側に!」


 そんな中でもアルシェは防御を固めている。


 自分も相当痛いだろうに意外と精神が強い子だ。


 俺たちの前に立って1番ダメージを受けるポジションを受け持つ。


 そんな彼女に俺は【回復薬】ふんだんに使い、優樹は防御力UPのバフと【回復魔法】を使う。


「ぐぬぬぬぬぬ!!!!」


 しかしいくらごましたって傷ついた体を回復魔法や薬で回復させ続けるのには限度がある。


 こうしている間にも彼女の体は回復とダメージの相互作用により疲労が溜まっているのだ。


(まずいな...、この状況を打破するには...)


 俺がそう考えていると。


「舐めるなよ、【賢者】である俺を!!」


 その方向を見てみると石川が両手に炎を巻き起こしながらそう叫んでいるのでした。

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