第55話 金稼ぎ

 〜アルセージのギルド〜


「素晴らしい! これが【ホワイトルビー】の原石!!!」


 貴族っぽい男に俺達は目当ての物を差し出す。


「報酬はきちんと貰うぞ」


 ギルドを通した正式な依頼だからな、払わないと言う道理はないだろうが一応念を押しておく。


「分かってますよ、こちらが報酬の15万ラピスです」


 俺は札束を数えてちゃんと15枚あるのを確認した。


「確かに受け取った。そのルビーはもうお前の物だ好きなようにしろ」


 そう言って次の依頼を見に行く。


 どうやら優男の話によると佐藤と石川は俺たちを探さずに冒険に出たと言う。


 王国の兵士達もそこまで目立った動きを見せていないようなので今はこの町で稼いだ方が良いだろうと俺は判断した。


 町人の殆どが優男を支持している者達らしく、俺が【弱体術師】であっても普通に接してくれるのですごく居心地がいい。


 ただ普通に接してくれているだけなのにそれが居心地が良いと思うなんてな...。


 俺は苦笑しながら次の依頼を受ける。


 時々トロルと同じくらいの強さを持つ魔物を討伐したり、この前の炭鉱で宝石集めをしたりしているとEXスキルがいくつか解放された。


『EXスキル【防具合成】取得しました』


『EXスキル【鉱石入手率UP】を取得しました』


『EXスキル【薬剤師の心得】を取得しました』


「【防具合成】に【薬剤師の心得】か...」


【防具合成】は言わずもがな【武器合成】の防具版だ。


 早速俺は【ナイトフォックスの革鎧】と【鉄鉱石】を合成して【ナイトフォックスの鉄革鎧】を作った。


【ナイトフォックスの鉄革鎧】


 守り+44


『夜にのみ活動するナイトフォックスの毛皮で作られた革鎧に鉄鉱石を埋め込んで強化した物』


 そして【薬剤師の心得】これがかなり便利な能力だった。


 今までは特薬草までしか作れなかったが、このスキルのお陰で【回復薬】が作れるようになったのだ。


【回復薬】は特薬草2つで作れて回復量は320程度と言うまあまあの回復量を誇っている。


 回復量も確かに素晴らしいのだが、やはり売却額だろう。


 何故か7800ラピス程度で売れるので特薬草2つを売り捌くよりも効率がいい。


 ただただ薬草を積んで売るだけでかなりの大金を得る事に成功した。


 今の俺の財布の中身は30万ラピス程度ある。


 これだけあれば色々と買い揃えても良いかもしれない。


 そう思った俺は再び武器屋に足を運ぶのでした。

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