第30話


放心状態から立ち直りました。


あっという間に放課後のチャイムです。


「 く〜ろ〜きさん! 」


高沢さんの手がわたしの両肩を押さえつけた。


なんで高沢さんが声をかけてくるの? 

 

今まで1度たりともなかったのに、誰も話しかけてくれない、ぼっちの、このわたしに…


「 重い… 」


「 失礼な!これでも1キロ減ダイエットに成功したんだよ!て、ちゃう…それよかさぁ、反応遅すぎだよ〜調子くるっちゃうなあ・・・ボケ〜っとして、な〜に見てたの? 」


「 べ、べつに何も見てないです 」


「 めずらしいこともあるもんだね〜いつもは勉強してるくせに 」


「 はい? 」


「 椎名くんのほう見てなかった? 」


はっ!・・


「 みッ、みるわけない…です 」


「 その慌てぶりはガチね 」


「 ・・ 」


「 ねぇ、教えてよ 」


「 何をです? 」


「 朝の件に決まってんじゃん 」


「 別に話すことなんてないです 」



「 わたしにはわかる、あの手のつなぎ方は普通じゃなかった 」


「 それは・・その・・椎名くんに手を触られたから、気が動転してしまって… 」


「 だと思った! 嫌いなんて言ってたけど、やっぱり黒木さんも椎名くんのことが気になるんじゃないの? 」


微かに頷きました。


「 ふ〜ん、勉強しか能がないジミコだと思ってたけど、人並みに恋なんかするんだ 」


「 しちゃ・・いけないの? 」


「 別にいいけど、いつもマスクなんかしちゃってさあ、何考えてるのかわからないのよね、あなたみたいな暗い子、椎名くんは相手にしないと思うけどさぁ〜…… 」


「 ・・ 」


高沢さんたらひどい・・私が椎名くんと手を繋いだから…嫉妬ですね…


けど確かに・・椎名くんと私では合わないと、自分でもそう思います。

 

理科室で体験した事は夢?


やっぱり冗談でしょうか


・・・


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