第24話


でも・・それも、もう必要ないんだ。


椎名くんの前で、嫌いって言ってしまった


成績を上げて、目立つようになって、そうすれば・・


憧れの彼に見てもらえるようになるかもしれないって、かってに自分で考えて…


だからわたし・・そんな不純な理由で・・


真面目なんかじゃない、こんなの絶対人に言えないよ・・


特に椎名くんには…


『 ミィ・・ 』


「 こいつ、お腹すいてるみたいだけど 」


「 黒木の弁当、何か食べられそうなのない?・・ 」


「 わたしの? ・・ 」


ということはですよ…


椎名くんに私のお弁当の中身が見られてしまうことになるわけですよね。


「 ちょっとそれは 」


『 ミイ・・ 』


お腹を空かしているみぃちゃんが、いかにもちょうだいって言ってるみたいにないた。


「 黒木? 」


ハッ! 


どうしよう


みぃちゃんの為!


「 言っておきますが、椎名くんは見ないでください! 」


「 ああ、目隠ししてるよ 」


慌ててお弁当の包みを広げて机の上に乗せた・・


フタをあけると、わたしの後ろから椎名くんが呟く。


「 卵焼きにウインナーにレタスに苺か・・ 」


慌ててお弁当を両手で隠した。


「 ダッ・・ダメ! 見たでしょ!嘘つき! しっかりチェックしてるし 」


「 いいじゃん、見るくらい 」


しかたない、わたしじゃみぃちゃんに何をあげたらいいかわからないから・・


「 みぃちゃんて、何を食べるのかなぁ 」


椎名くんはお弁当をジッと見つめている。


「 う〜ん・・・たぶん・・これ!ゴチ〜! うっまそう! 」


「 あっ! わたしの好きな苺! 」


椎名くんがわたしの後ろから手を伸ばし、苺を一つ摘んだ。


「 ちょっと!2個しかないのに!勝手に食べないで!・・・ 」


「 みぃちゃん!は〜い!苺だよ 」


みぃちゃんに?…なら許す。


椎名くんは手のひらに乗せた苺を、みぃちゃんに差し出した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る