第16話



☆☆☆ 一ヶ月前 ☆☆☆



進級して彼と同じクラスになって、毎日彼を見ているうちに憧れを抱いてきたのは確かです。

 


けれど、なんのとりえもない地味な自分にまったく自信がない私は、打ち明けることなんてできなくて、それ以前に彼を好きになってもいいのだろうか?と、さえ、考えてしまい、遠くから見ているくらいしか出来なかったのが現実です。


彼の姿を遠目で見ながらいつもポツンとひとり、心の中で彼のことを想うしかなくて


クラスの女子達はいつも楽しそうに


「 『 『 いいよね椎名くん 』 』確かに・・『 『 カノジョになりたい〜!』 』私もなりたい・・・ 」


的な話を聞かされながら…けれど、椎名くんとのデートは予約制で1か月待ち!?


そんな噂も立つほどモテモテの彼なので、わたしにとっては遠く手の届かない、非現実的、妄想にしかすぎないのです。


そんな憧れの椎名くんと、夢の中でお話をしたり、デートをしたりしていたのですが…



すべて・・忘れましょう。


長い午前の授業も終わり、お昼の時間になりました。


どうせぼっちなのだから、何処で食べようが関係ないけど、今日だけは教室以外の場所の方が少しは落ち着きます。


わたしはある部屋へ向かいました。


辺りを見回し、静かにドアを開けます。


ここなら誰もいないはずです。



カチャ 


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