第12話


意識が消えそう



あまりにも非現実的なことを突然言うから



嘘に決まってる。



わたしに恋愛経験がないと思って、からかっているんだ。


なんとなく悔しい想いに、ジュワ〜っと心が揺さぶられて、思わず言ってしまった。



「 せっかくですけど、現在のところ募集とかしてませんから! 」



自分でも何を言ったのか、良く覚えてはいない



「 ラッキー 」



「 はぃ? 」



「 黒木って カレシ いねーの? 」



そ、そ、そんなことこんなところで言わなくても!



「 教室にいるみんなに聞こえちゃう! 」



「 好きなやつは? 」



い、い、い、いるけど・・


言えるわけないし・・


い、い、い・・・



「 いなぃ 」



何がなんだかわからいままボーッと立ち尽くすわたしに、椎名くんの顔がすぅっと、また近づいてくる



「 だったら 」



はぃ?・・・



椎名くんの吐息がわたしの顔にサファ〜っとかかってる!



「 俺の彼女にしてやるよ、どう? 」



はぃ?



すぅッと 唇が



近づいてくる



『 パフッチュッ!』



マスク越しに、椎名くんの唇とわたしの唇が重なった 



えッ!



うッ!



「 クシュん! 」



キャピんッ!!






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