101号室 堕落

数か月後・・・。


俺は時折彼の様子を見ながら過ごしていたが、

同じような毎日を繰り返しているだけで特によい変化は起きていなかった。


そればかりか状況は悪化しているような気がする。


だって、

彼が新聞を配る様子は全く見なくなったし、

あのラーメン屋にも行っているのか分からないほど、

出かけなくなってしまっていた。


部屋にはコンビニで買ったであろう食べ物や飲み物のゴミが散らばっている。

髪の毛は伸びきって、結べるほどの長さになってしまっている。


昼の12時になって、ようやく起き上がった彼は、

菓子パンにかぶりつきながら就職雑誌をパラパラとめくる。


しかし、仕舞いには壁に投げつけてしまった。



痛い・・・。

情緒不安定だなぁ。

出ていく時はちゃんと壁修理してくれよな・・・。



俺は冷静にそんなことを考えていた。


彼は、そのまま特に何もせずダラダラとしているうちに夜を迎えた。


テレビに向かいゲームをしている最中、

突然携帯に着信が入る。



「なんだよ・・・。もう。母さんか・・・?」



苛立った様子で携帯の画面に目線を移した彼は、


ひかりとかかれた画面を見て、

少しフリーズしてからゲームを止めた。

そして、無造作に携帯を掴み取り、彼は電話に出る。



一体誰からの電話なのだろうか。


マンションである俺は全体を見回すにはそのままが適しているが、

電話の相手の声まで聞くには人間化して近づく必要がある。

俺は人間化して彼の横にそっと座った。


「はい。」



彼はぶっきらぼうな声で電話に出る。


すると、

「お!出た。元気だったかー?」


電話の相手は明るくハツラツとした声で答えたのだった。

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