本屋で目当ての本を探せ【僕らの謎解きバレンタイン】
【僕らの謎解きバレンタイン】より。
https://kakuyomu.jp/works/16816927862911636629
「頼む、手を貸してくれ。朝霧小学校の小林少年と言われている、お前の力が必要なんだ!」
両手を合わせて懇願してくるのは、同じクラスの男子、佐久間。
けど朝霧小学校の小林少年って。そう言ってるのは、佐久間だけだろ。
だいたい、こんな所で何を知ろって言うのさ?
佐久間から呼び出されてやってきた場所。そこは小学校の近くにある、小さな本屋だった。
「で、いったい今度は何をやれって言うの?」
「実は探してほしい本があるんだ。【5分で読書 5分で解決探偵あらわる】って本なんだけどさ。いくら探しても見つからないんだ」
「……は?」
僕は耳を疑った。
本を探せ? そのためだけに、わざわざ僕を呼んだって言うのかコイツは!?
確かに、本を探したいという気持ちは分かる。だけどさあ。
「それなら僕を呼ぶよりも、店員さんに聞いた方が早かったんじゃないの?」
「あっ! そういえば!」
気づいてなかったのか? 全く、彼にはいつも呆れさせられる。
「あとさ。残念だけどその【5分で読書 5分で解決探偵あらわる】、もしかしたらここには無いかもしれないよ」
「え、何でだ? もう発売されてるはずだろ」
「確かに発売はされてる。けど、取り扱ってない本屋も多いんだ。本当に欲しかったら、通販するなり本屋に頼んで取り寄せてもらうなりするのが確実だよ」
「そうだったのか。くそー、だったら今から注文する!」
「そうしなよ。僕はAmazonで注文してるから、今日あたり届くだろうけど」
「おい、お前ずるいぞ!」
ずるくないよ。前もって聞いてれば、僕だって教えてあげたのにさ。
「それにしても佐久間、君が小説を欲しがるなんて、どういう風の吹きまわしだい?」
「だってよう。この【5分で読書 5分で解決探偵あらわる】には俺達の話、『ボクらの謎解きバレンタイン』が収録されてるんだぜ。欲しくもなるよ」
「確かに。児童書になるにあたって、タイトルの『僕』が『ボク』に変更されているけど、僕らが活躍することに変わりはないね」
「だろ。しかもだ。噂によるとどうやら書籍化するにあたって、俺が少しイケメンになってるって言うじゃないか。スゲーだろ!」
「それは元の君があまりに残念だったから、こいつはいけないってなってテコ入れされたんだよ」
元の君がダメンズだったおかげで、作者が苦労したじゃないか。
まあ他にも追加シーンなんかがあって、カクヨム版とは違う書籍版だけの特別使用になってはいるんだけどね。
「ところで佐久間、君はもっとも重要な追加ポイントを、忘れていないかい?」
「重要な追加ポイント?」
「そう。書籍化するにあたつてこの僕、小林のフルネームが明らかになってるんだ」
「マジかよ? 作者、本当は何年も前に俺達の話を公募に出そうとしたけど、完成した話に自信が持てなくてお蔵入り。依頼日の目を見ることなく封印されていた、小林のフルネームが!?」
「丁寧な説明をありがとう。そう、僕のフルネームは、小林あ──」
「ストッープ! ここから先は、本を見てのお楽しみだ! 面白い作品がたくさん載ってる【5分で読書 5分で解決探偵あらわる】、読んでくれよな!」
「こらー、名前を言わせろー!」
※というわけで、【ボクらの謎解きバレンタイン】、書籍化しました。
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