第10話・終焉

ウラヌス帝国、その地下中心部「メビウス」から響くピアノの音色



これは月に一度、


帝国の最上位騎士「終焉」がこの場所へと集う事を意味していた。




教会の様な部屋の中心に置かれる長い机を挟み、



その十人は席に着く。




「全員揃ったようだな。」



真ん中の椅子に座る少年、


全身に纏う黒いコートとは真逆に、その髪は白く光り輝くホワイトブロンド



彼の座る椅子の裏には一本の剣の紋章



「終焉」の第一位を意味する



「ここ最近のお前達の任務履歴には目を通している、なにか異常がある者は居るか?」



「特になーい、からさ、、さっさと解散するのを希望〜」



「私もルナンに賛成よ、早く狩場に向かって、

真夜中に潜む魔獣を斬り殺したいのだけれど?」




「黙れ…俺は口を開いていいとは言っていない。この場で二人とも俺に斬り殺されたいか?」



「……」



「分かればいい、本題に入ろう、二日前、我が帝国が実験により捕縛していたカースドラゴン一体が暴れだし逃げ出した。それの捕縛を命じられた…」



「カースドラゴンか、でもわざわざ僕達に任せられる任務なの?」



「最悪の事態を懸念しての事だ…」




「へ〜、じゃっ、誰が行くか一人決めるってことね」


「いや、もう場所は分かっている。だが場所が場所なんだ、奴らが何人も居る可能性もある。それを考慮して今回は我々から三人向かえとの事だ。」


「はっ?三人?!ドラゴン退治なんかで三人とか僕らのメンツ大丈夫?パラディンなんて何人居ても同じだよ?」


ならばルナン、お前一人で行くか?腕利きのパラディンが三人居ればお前は負けると思うがな?あまり自分に奢るな」


「チッ、じゃあと二人はどうすんの?」


「仕方ないわねぇ、私が行ってあげる。どうせ暇だしね、運良くパラディンが居たら楽しめそうだしね、貴方も来なさい、第六位さん?」


「……」



そうして絶望の中から、三人が選ばれることになった。


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