第9話・特別合宿①

「まさかあんな女教官が一年前までバリバリ現役のパラディンだったなんてね」


「うるせーぞサテラ、何回その話すれば気が済むんだこのチビ娘が…」



「そんなこと言っても、地面に這いつくばってるダンなんて初めて見たんだもん、数日じゃ忘れられないもん」


「てめぇ」


「まぁダン落ち着いて、教官がちゃんとした実績のある人だと分かったんだ!良かっただろ?」


「まぁ、いざって時に俺達三人以外がクラスや学園を少しは守れるってのは分かったが、」



ダンは拳を握る。


「だがあいつのやり方が気に食わねぇ、不意打ちしやがって、くそ教官が…」



結局あの後、これ以上は場が持たないと判断した国王陛下は一度解散させ、後日また落ち着いて話し合う形となった。



学期末最終総合試験を終えた僕達は今日から、

Sクラスのレベルを高めるための合宿へと向かう事になる。


期間は三日間、


この国の東に位置する山、ヘルドヘルムで行われる。



Sクラス十八人に加えエルゼ先生、そしてもう一人の教官としてAクラス担任ガゼル先生を含め、

合計二十人でこのヘルドヘルムへとやって来た。



「よし、お前達五日間使わせてもう宿舎に着いた。部屋は男又は女の二つだけだ。息苦しいとも思うが、集団生活は必要な訓練だ。心して生活しろ」




「「「えぇ〜、皆同じ部屋は狭いよぉ」」」


女子達が不満の声を上げる



「もたもたするなガキども!一日目の今日は到着日だ。今から点呼を取りながらわたしが決めたチームずつに分かれてもらう。そのチームでこの三日間何度も共に訓練を行ってもらう。覚悟しておけ、そして発表した後、今夜の食材を調達しろ!それが出来なければ一日目から晩飯は抜きだ」





「ではチームA


グラン・アルデラ 【男】

クラリオ・ペイルー 【男】

ルミナ・アース 【女】

ナタリー・アストラン【女】

エルダ・レインハルツ 【女】

ケイト・リズナス 【女】


以上だ」



げっ…嘘だろ、なんで寄りによって彼女なんだ



エルゼの方を見ると、こちらにニヤリと向けている。


あの教官…やはり好きにはなれない。



「Bチーム


アンナ・デトロイト 【女】

クイナ・ハーミス 【女】

シアン・ケニオ 【男】

エリナ・アリストテレス 【女】

ダン・べルード 【男】

マルス・アレキサン 【男】



以上」



「Cチーム

ローラ・アルケイト 【女】

ポール・フランシス【男】

ラーナ・カルデラ【女】

イオ・ライセル【男】

サテラ・アルマテラ【女】

カンナ・アルシア【女】


「以上が全チーム別の振り分けだ。忘れるな」



「よし、すぐにチームに別れ、散策に行け!

タイムリミットは一時間とする!」



グランは思考を止める、そして身に覚えがある視線を感じ、先が思いやられ、ため息を吐く。





考えるだけでゾッとする訓練がいよいよ

始まった。

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