第4話・対立
振り向いた先にはら光り輝く黄金の髪に、うぶな顔をした、まさに貴族のご令嬢と言うのだろう。表情は不機嫌そうにも見えるが、それでも心の底から叫びたくなるように、本当に…
「可愛い…」
「なっ!」
「ん、いやっ、違うんだ!可愛いなってつい、無礼をごめん」
言ってしまった…、引かれること間違いないだろう、そう感じながらも、
「僕になにか用があった、かな?」
そこから謎の十数秒の間が開き、、
気を取り直したように彼女は告げてきた。
「アナタッ!昨日のスピーチはなんなの!あんな赤子でもできる内容で馬鹿にしてるの?たまたま首席になったくらいで勘違いしないで欲しいわ!初対面のじょ、女性に失礼だとは思わないの!」
彼女の顔には心の底からの怒りを感じた。本性を内に留めず全部放り出す人間なのだろう。
あんなスピーチならこの言われ用も仕方ない、次また機会があるならその時はもう少し恥じない演説をしようと、改めて心に誓ったところで、
この場をどう収めるかだが、周りのクラスメイト達もなんとも言えない視線を向けてきている、控えめに言って死にたい
「私が言っている事が正しすぎて何の反論も言えないわけ?どうにか言って見なさいよっ!」
これからの目的のためにも、
どの道穏便に収めるのが一番だ。
だが、彼女から呼び止められて数分、
自身でもよく分からない、何か大きい衝動が渦いている。この場は穏便に収めるべき所なのに、本能がそれを許してくれない。
「確かに君の言う通り、僕のスピーチは恥じるべき内容だったのは確かだし、反論はできない、是非君のような完璧で高潔な人間が立つべき所なんだろうと思うよ。」
「えぇ、その通りよ、」彼女は
頷きながら、納得した表情を見せる彼女を見て、ずっと、それを言う為だけに自身へと威圧を放っていたのかと思うと、ゾッとする心境だ。
まだ僕の話はまだ終わっていないが、
「でも、ごめんね、わざわざ朝から不機嫌な表情にさせてしまって」
「全くよ、まぁでも、間違ってる物事を間違ってると教えてあげるのは優等生として当たり前よ」
切り捨てる様な言葉と冷たい視線からは、
先程までの威圧ではなく、軽蔑へと変わる。
「でも」
その時にはもう、言葉を続けていた。
「その優等生様が、物事を間違えている様な人間に劣るなんて、笑っちゃうよね、ほんとに」
食堂から他の生徒達の会話は一瞬と消える。
再び十数秒の間が開き
「貴方、今なんと?」
「優等生なら一度で聞き取りなよ、それも君の恥じるべき所だ、君は僕のスピーチについてこうやって、朝から無駄な時間使ってご苦労な事だねって言ったんだよ。あぁ、あの場に自体立てなかった君が、優等生気取りで僕の事をどうこう言う事ができるなんて、ほんとに頭にお花が咲いているんだね?」
再び、しばらくの沈黙……
「なっ、貴方喧嘩売ってるの!」
長い黄金の髪はボサボサになるほど、今日一の怒りが表情へと変わり、噴火する。胸ぐらを掴まれる。
周りのギャラリー達もざわつき始めた。
「貴方、いい度胸ね、喧嘩を売られたのは六年ぶりかしら、絶対に許さないから覚えておきなさい。私に喧嘩を売ったことがどれだけ罪深い事なのか解らせてあげるわよ」
「一方的に恨まれても…、まぁいいけど、僕は君と競ってる暇などないから勝手にしてくれていいさ」
気づいた時にはそう言い捨て、食堂を後にしていた。
「…おいっ…」
「あいつ、誰に喧嘩売ってんのかわかってんのかよ、」
「絶対卒業までには居なくなってるわよ」
ギャラリーになんと言われようと関係ない、
尖った生徒になるつもりもなければ、優等生になりたい訳でもない。
やりたいようにやる。目的のためにも。
そう誓ったんだ。
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