第二章 銃と仲間をゲット! なのに相方が聖剣・魔剣に夢中で草

第14話 大精霊コロボー

 銃を手に入れたはいいが、謎のモンスターがオレたちの前に現れた。白くて耳の長いネコである。体毛が多く、フサフサモフモフと言うかモジャモジャに近い。


 オレとモモコは、一斉に銃を構える。


「待つモジャ! オイラは敵じゃないモジャーッ!」

「何者だ」

「えっと、クニミツと、モモコだったモジャ?」


 なぜかモンスターは、オレたちの名前を知っていた。


「怪しい」

「やっぱり撃つ、クニミツ?」


 再度、オレたちは銃口をモンスターに向ける。


「敵じゃないモジャーッ! オイラは大精霊ウニボーだモジャ!」

「大精霊、ウニボー?」


 まるで西洋精霊の「ブラウニー」と、東洋精霊の「コロボックル」を足したような名前だ。


「お前たちが呼んでいた精霊のボスだモジャ」


 オレたちの家や居住領域をキレイに保ってくれていた精霊には、親玉がいたらしい。


「その節は、精霊たちをお腹いっぱいにしてくれてありがとうモジャ。みんな喜んでいるモジャ」

「私たち、なにかしたっけ?」

「お花の蜜をくれているモジャ」


 オレとモモコは向かい合って、「ああ」とため息をつく。


 モモコは「精霊に手助けをしてもらう」と、花を生成しては植えていた。


「あれは単に、花は雑草から錬成できるから作っただけ。ポーションや火薬の材料にもなるし、武器にも薬品にも変わるから」

「それでも、ありがたいモジャ。前の住人だったノームはムダに魔力が高かったから、精霊をあんまり大事にしなかったモジャ。そっちのクニミツは、お供えをくれたモジャ」


 大精霊ウニボーに言われて、オレも理解する。


「そういえば、神棚作ったんだよな」


 木材が余ったので、気まぐれで精霊への感謝を込めて神棚を作ったのだ。そこに毎日、握り飯やおはぎをお供えをしていた。翌朝にはお供えがなくなっていたから、精霊が食ったのだろうと思っていたが。


「あれはうまかったモジャ」

「いや、そういうもんだと思っていたから。当然だと思っていた」


 異世界だから、割とそんなものなのだろうと考えていただけなのだが。


「クニミツ、モモコ。ふたりとも、ありがとうモジャ。こんな優しい住人たちは、初めてモジャ」


 ウニボーは頭を下げた後、本題に入る。


「で、オイラは本格的に顔を出して、お前たちを守ると決めたモジャ。仲間に入るモジャ」


 なんと、ウニボーが仲間になりたそうにこちらを見た。


「ずっとここにいたのか?」

「そうモジャ」

「どうして、黙っていた?」

「先発隊に、偵察させていたモジャ。前のノームが、雑なヤツだったからモジャ」


 よほど信用できない住人だったのだろう。


「家の中に大木やキノコとか生やして、追っ払ってやったモジャ」


 どうもウニボーたち精霊は、割と過激な思想を持っているらしい。怒らせないほうがいいな。


「なんかさ」


 モモコが、オレの袖を引っ張る。


「どうしたモモコ?」

「ノームは死んだって、エルフのドリスさんから聞かされてたじゃん?」

「たしかに」


 老衰で死んだと、言っていたっけ。


「話を聞いている感じだと、『アカウントが抹消された』って感じがしない?」


 言われてみればそうかも。


「となると、管理者権限で存在を消された可能性が高いっていいたいのか?」

「そんな気がする」


 このモジャモジャに、そこまでの管理権限があるとは思えないが、気にしたほうがいいかもな。


「迷惑なら、精霊の世界に帰るモジャ」

「どうするかは、もっと話を聞いてからにしたい。何ができるんだ?」

「精霊の面倒のほかは、探索できるモジャ」


 採掘や採集なら、手を貸せるだろうとのこと。たしかに見たこともないレア素材なら、欲しいかも。


「あと、ある程度のモンスターなら、弱点がわかるモジャ」

「それはありがたいな」


 モンスター退治で生計を立てている関係上、弱点がわかるのは頼もしい。


「モモコは、問題ないか?」

「うん。精霊と話ができれば、相手が何を欲しがっているかわかる」


 決まりだな。


 オレはウニボーを仲間に入れた。

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