第4話真実と嘘の境界線
長い休みが始まった。帰省をいつにしようかと思いながらカレンダーを見る。何かしようと思うが、何をしていいかもわからない。ただただ時間と日にちが進んでく。課題を少しずつ終わらせながらふと君のことを思い出す。
少しの休憩を取ろうと机からベットに移動し、腰かける。スマホのロック画面を覗くと君と私のツーショットが浮かび上がる。いつかは色褪せていくのか、それともこのままの色で懐かしいねって笑う日が来るのか、分からない。
私たち2人はそんなに頻繁に連絡を取らない。そんなゆったりした感じが好きだったが、今は不安でしかない。私からはあまり連絡をしなくていつも君からばかりだった。少し変化を求めたくて、文字を紡ぐけども送信ボタンは押せない。悩んでる自分が嫌になってスマホをベットに画面を伏せて置く。今はこの写真も見たくなくて、部屋の天井に目を向ける。君の考え、感じてることを知れたら、私はどうにかなれるのかなとベットに体を預ける。目を閉じて、頭の中をぐるぐる君との記憶が回っている。
(ピコーン)
メールの通知音がしてビクッと音を立てて起き上がる。スマホの画面を見ると君からメールだった。
【今から家に行っていい?てかもう部屋前にいるんだけど。】
珍しい。君が突然来ることは初めてでスマホを握りしめる。なんで返信しよう…、その前に自分の格好がやばいパジャマだし、メイクもしてないし、髪もボサボサ。急展開に焦るばかりで
何にもできない。もうこのままでいい。
思い切って玄関のドアの鍵を開けてドアノブに手をかける。眩しい日差しの中から笑顔の君がそこにいた。コンビニの袋を片手に部屋着なのかスエット上下で立っていた。その抜けてる感じがかっこいいと思うのは惚れた弱みなのだろうか。
『やっぱり!パジャマ可愛いね!
突然来たらそのままの君が見れる気がして
迷惑だったかな?』
私より少し背が高いくせに子犬みたいな目でそんなことを吐く君の口を塞いでやりたい。ただただ恥ずかしい。
[別になんとも思ってないけど]
強がりしかいえない私。本当は会いたかったし、話したかったくせに可愛くない。
お邪魔しまーすと私の後をついてくる君。リビングに入るとコンビニの袋をテーブルの上に置きながら私に不意打ちのキスをしてきた。何が起きたか分からない私は微動だにできない。
いつもそういうことをする時は聞いてくる君がこんないきなりすることは初めてで。ただ君の腕にしがみつくしかできない。
このまま時が止まればいい
このまま溺れさせてお願いだから
君は器用にベットに私を連れて行く。押し倒して抱き締めてきた。まだ口と口は繋がったままで密着している体が熱い。このままどろどろに溶けてしまいそうに。長いキスが終わりを告げた時君は自分の唇を指で拭いながら、
『嫌なら拒否して泣いて、そんでさ
耳元で囁くように
嫌いになってよ…。』
もっと酷くしてよ、嫌いにさせてよ
そんなことできないの分かってるから私から離れなきゃいけないのも分かってるよ…。
でもさそんなに優しく抱かれたら私はどうしたらいいの…
私の上で汗だくになりながら君は笑う。
首に手をかけると弱く締めてきた。君の片手で私の人生を終わらせてくれるの?私はただ目を閉じることしか出来なかった。いろんな思いが駆け巡る。
死にたい、死にたくない
溺れたい、溺れたくない
苦しい、苦しくない
でも最後の答えはきっと君といたいしかない。
もっと強く締められると思いながら目を強く閉じてると何かが顔に当たる。びっくりして目を開けると君が泣いていた。君の瞼から頬にかけて一筋、また一筋と涙が落ちてくる。なんで君が泣くの。おかしいよ。。。
『どうしてそんなに好きなの…。最低なんだよ君に見せてない自分が顔を出すたびに君はなんで受け入れるの?怖いよ、壊してしまいそうで。だから嫌われることを必死に考えてやってるのになんで。』
首にある手が、腕が震えている。なんで愛おしいんだろう。そんなに私から離れたいんだね。
君に求めるのを私はやめる。解放してあげるよ。
[君なんて嫌いだよ。バイバイ]
泣きながら笑う君がとても輝いて見えた。私は君のために嘘をついたよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます