第12話 清楚系ビッチな妹友に家庭教師をすることになった件。その②



 ――最近、清楚系ビッチなJSに勉強を教えている。


「できました」


「早いね。さすがは名門小。はい」


「全問正解ですねッ、やったぁ! これで今日の分は終わり?」


「や、まだ時間あるでしょ、もうちょっとやろうよ」


「むー、お兄さんの……スパルタ」


「なんとでも言いなさい」


『……ねーねー、お兄さん? ……こんなにがんばってるんだから、少しくらいご褒美があってもいいんじゃないかなぁ……?』


「ご褒美? 例えば?」


『……それはもちろん、……お、さ、わ、り♡』


「……、却下ッ」


「じゃあ、ええとその……」


「?」


 もじもじ、……からの。


「……、頭、なでる、とか……?」


「……え?」


「な、何まじまじ見てるんですか、もうッ、こっち見ないで……ッ」




 ◇◇◇




 ――家庭教師の合間、持参した参考書に目を落とす。



「む、また片手間に勉強しようとしてたんですか? ……こんなに可愛い子が目の前にいるのに」


「当たり前だ。ガリ勉には常に、勉強時間が足りないんだよ」


「……そんなに勉強してどうするんですかぁ? 何か夢があるとか?」


「や、別にないけど」


「じゃあ、なんで?」


「……俺みたいな平凡な人間はさ、勉強という単純化された結果を出すことしか、自分の価値を高める方法ないでしょ?」


「……うわぁ……」


「……何だよ?」


「……お兄さんって、ホント現実的ですよねぇ」


「それが一番効率がいいからな。的を絞る分、結果も出やすい」


「そういうものですか?」


「そうそう、だからほら、――勉強しような?」


「…………」


 西川さんの表情がが少しだけ伏し目がちになり、ぼそっと、


『……相変わらず、……ですね……』


「え?」


「いえ、……なんでもないです♡」


「?」




 ◇◇◇




 ――俺の中間試験と、西川さんのテストの返却日。



「見てくださいお兄さん、高得点ばっかりですよッ。お兄さんのおかげです♪」


「…………」


「お兄さん?」


「……え、ああ、すごいじゃないか。ちょっと教えただけでこの結果、いやー、本当に娘さん、さすがですね」


「教え方がよかったのねー。小方おがたくんに頼んでよかったー」


 西川母の陰には、西川父の謎の表情、……はにかみ? 怒り?


「……お父さんも顔はアレだけど、内心感謝してるわ。本当にありがとう、小方くん」


「……いえ、全然です」


「こほん。『お兄さん、お兄さん』」


 ちょいちょい、と手招きされて、耳打ち。


『……、ご褒美♡ ……期待しても、いいんですよねッ?』


「ああ、そうだったね。――じゃあ」


『え?』


 すっ。


「!」


「――ッ!」


「まぁ」


 思わず固まる西川さんのつむじをポンポンして。



「……おめでとう西川さん。キミは本当にすごいよ。……よく頑張ったな」



「……ッ、……ッ、そんな躊躇なく……、……ぅ……、///」


「……そぐ……そぐ……そぐ……!」


「あらまぁ、仲良しでいいわねぇ」


「…………」


「……?」


「じゃあ、俺は予定があるので、これで。……すみません、お邪魔しました」


「あっ」


 バタン。


「……お兄さん?」


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