第7話 清楚系ビッチな妹友の学校へ授業参観に行った件。


 ――清楚系ビッチの妹友いもともが、最近やけに清楚っぽく見える。


(「……よかったら、食べてくれますか?」)



「うおおおおお! オレはロリコンではありません、ロリコンではありません、ロリコンではありませぇん!」


「何言ってんのおにぃ、頭大丈夫ぅ?」


「ひゅい!? いつからここに?」


「とりあえず、……おにぃがロリコンなのはわかった!」


「断固として! 違う、から! な!」




「ところで、おにぃ、明日の土曜ヒマ? 授業参観があるんだけど、パパもママも来れないって。……せっかくロリコンなら、来てみない? なんて」


「……行かねーよ! 俺は正真正銘のノーマルだからな!」


「……そ、……そっかぁ。……あはは、わ、わかったぁ……しゅん」


「いや、やっぱ気が変わった! 行く行く! 行きたいわ!」


「ホントぉ!? やったー! さっすが、おにぃー! ロリコン最高ぅ!」


「――ロリコンじゃない!!」






 ……という感じで、妹のために名門小の参観日に来てしまった。


(建物の外見はアレだけど、中は思ったより普通なんだな……)


 ん?


「西、川ッー! どうしてーッ! 僕を避けるんだよーッ!」


「? 伊集院くん?」


 あ、西川さん発見。相変わらず目を惹く容姿だ。同じクラスだからいるのは当然か。……そんでもって、よく知らない男の子。同級生、かな? 


(なんだよ、いいじゃん、年相応で。……そうそう、西川さんにはこういう爽やかで可愛い青春が……)



「とぼけるなよ西川! 小方おがたの兄貴には、ベタベタしてるくせに!」


「!」



 ――ぜんぜん爽やかじゃなかった。



◇◇◇




「――どうして僕を避けるんだよ西川! 小方の兄貴には、ベタベタしてるくせに!」



「……えと、急に、何言ってるのか、わからな……」


「……お前、小方おがたの兄貴のこと、好きなのか?」


「……ッ!」


 なな、何言ってんだコイツ! ……ってあれ、西川さん、どうしてそんなに黙って? ……えっ? 


「ん? あッ!! アンタは! 小方の兄貴!!」


「ぬおッ!?」


「……ッ!」


 男の子に指をさされ、あっさり盗み聞きを看破される。気まずい思いで二人の前に出ると、


「……ちょうどよかった! アンタ、ちょっと西川にベタベタしてみてくれないか?」


「ハッ!? キミ何言って? っておい、押すな押すな」


「西川が! アンタのこと好きかもしれないから! 確かめたくて!」


「……ッ! ちょ、やりすぎじゃ? うわッ」


 バランスを崩して、そのまま西川さんにぶつかりそうになる。……が。


 スッ。


「!?」



 ……え、避けた?



「……なっ!?」


「……別に、……好きとかじゃ、ありませんからッ」


「……」


「…………失礼しますっ」


 そっぽを向いたまま、西川さんが言い捨てるように去っていく。声色から感情は読み取れないが、歩く後ろ姿に、どことなく力が入ってるような気もする。


「……」

「……」


「……だ、そうだけど?」



「――なあんだああ! そっかあ! アンタでもベタベタするのは嫌なんだ! ……僕、避けられてななかったんだぁああ!!」




 ……めっちゃいい笑顔ー。なんか、よかったねー。




 ――その後、なぜか伊集院くんに懐かれ、授業参観では多少場違い感はあったものの、特に何事もなく終了した。

 





 ◆◆◆




 ……と、思った帰り際! 突然の耳元攻撃!!




『……盗み聞きなんて、いい度胸ですねぇ、お兄さん? ……お仕置き、楽しみにしててくださいね♡』


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