本編【其の蹂】

20××年8月2日

樹齢百五十年の松の木、通称『一本松』の下で生方達治うぶかたたつじの遺体発見。

【家族の証言】※息子の和彦含まず

真夜中、視えないが家の中に飛び込んできたのが、と生方達治の母である佐和さわは証言している。

その刹那せつな、達治の体は血飛沫ちしぶきと共に宙を舞い、骨の砕ける音を響かせながら体がひしゃげ、手足がねじ切れ、床に何度も叩きつけられた。その際の達治の絶叫が近隣の家まで聞こえていた。

室内は壁や床、天井までも達治の血で赤く染まり、妻の弥生、息子の和彦は放心状態のまま保護された。

その光景を目の当たりにした和彦は、正気を取り戻した時にはここ数日の記憶を喪失していた。妻の弥生に記憶障害は見られない。

【特筆事項】

和彦の左手小指喪失(傷なし)

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夏の日の出来事 haruka/杏 @haruka_ombrage

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