第9話

 ルミアと老人の戦いは続いていた。

「はあ……はあ……」

彼女の息は上がっていた。

「ふっ……。もう終わりか?」

老人は涼しい顔をしていた。

「くっ……。インフェルノ!」

彼女は負けじと反撃に出た。巨大な炎が出現するが、老人はそれを軽々と避けた。そして、彼女に斬りかかった。彼女はそれを剣で防いだ。

(まずいな……。このままだとジリ貧だ……。何とかしないと……)

俺は焦っていた。

「おい!俺にも手伝わせてくれよ!」

思わず叫んでしまう。だが、返事はなかった。

「ちっ……」

俺は舌打ちすると、仕方なく自分で戦うことにした。

(ここは慎重に行くべきだな……。下手に手を出して、足を引っ張るわけにはいかない……)

俺は自分に言い聞かせるようにして考えると、老人の背後に回り込んだ。

(よし……。今だ……)

そう思った時だった。

「ふっ……。後ろがガラ空きだぞ?」

いつの間にか老人は振り返っており、剣を振り下ろそうとしていた。

「うわっ!」

俺は慌てて飛び退いた。だが、完全に避けることはできなかったようで、肩に傷を負ってしまった。

「くっ……」

俺は痛みを感じた。傷口を見ると血が出ていた。

「大丈夫ですか!?」

彼女は心配そうな顔で駆け寄ってきた。

「ああ……。なんとかね……」

俺はそう答えると、剣を構えた。

「そっちこそ大丈夫なのか?」

俺は問いかけた。

「はい。このくらいどうってことありません!」

彼女も剣を構えると言った。

「わかった……。だったら、一気に片付けるぞ!」

俺はそう言うと、老人に突っ込んでいった。だが、あっさり避けられてしまう。そして、背中から斬られそうになる。だが、間一髪のところでルミアに助けられた。

「大丈夫ですか!?」

彼女は心配そうに声をかけてきた。

「ああ……。助かったよ……」

俺は礼を言うと、すぐに老人の方を見た。彼はニヤリと笑うと、こちらに近づいてきた。

「なかなかやるではないか……。少しは楽しめそうだな……」

老人は嬉しそうだった。

「それはこっちのセリフだよ……。あんたこそ大した腕前じゃないか……」

俺は皮肉を込めて言った。

「ふん……。褒めても何も出ないぞ?」

老人は鼻を鳴らすと、攻撃を仕掛けてきた。俺はそれを避けると、反撃しようとした。だが、またしても攻撃は当たらずに空振りしてしまう。

それからも同じような展開が続いた。

「くそぉ……。なんで当たらないんだよ!」

俺は苛立ちを覚えた。「落ち着け……。お前ならできるはずだ……」

俺は必死に自分を宥めた。

「次はこれでいくぞ……。プロミネンス・ノヴァ!」

俺は炎系の最上級魔法を放った。だが、それも簡単に避けられてしまう。

「はぁ……。次は私の番ですね……」

彼女はため息をつくと、呪文を唱えた。

「ホーリー・バリア!」

俺たちの周りに光の壁が発生した。

「ほう……。そんなこともできるのか……」

老人は不敵に笑った。

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