第8話

 だが、いつになっても攻撃されることはなかった。

「あれ……?」

恐る恐る目を開けると、そこに広がっていた光景は想像とは異なっていた。

なんと、俺たちの前にはルミアが立っていたのだ。

そして、彼女を守るようにして、黒い霧のようなものが出現していた。

「ルミア……?」

俺は呆気に取られて呟いた。

「くくく……。ほう……。これは驚いたのう……」

老人は感心した様子で言った。

「大丈夫ですか!?」

彼女はこちらを振り返ると、心配そうな顔で尋ねてきた。

「ああ……。なんとかね……」

俺は驚きながらも答えた。

「どうなっているのでしょう?」

彼女は戸惑っていた。

「それはこっちのセリフだ……」

俺には訳がわからなかった。

「ふっ……。なるほど……。そういうことだったのか……」

すると、老人は納得したように笑った。

「何かわかったのか?」

俺は問いかけた。

「いや……なんでもない……」

だが、老人は何も言わずに首を振るだけだった。

(本当に何を考えているのかわからねぇ奴だ……)

俺は怪しく思った。

「それより……。そろそろいいかのう……?」

老人は不敵に笑うと言った。

「ああ……。待たせて悪かったな……」

俺はそう答えると、ゆっくりと歩き出した。そして、剣を構えると、一気に距離を詰めた。

「喰らえ!」

そして、渾身の一撃を放った。だが、簡単に受け止められてしまった。

「くっ……」

俺は必死に押し返そうとした。だが、ビクともしなかった。

「ふん……。そんなものか?」

老人は余裕のある表情だった。

「まだまだぁー!」

俺は諦めずに力を入れ続けた。

「いい加減くたばれ!」

老人は苛立った声で叫んだ。

次の瞬間、凄まじい衝撃を受けた。そして、吹き飛ばされてしまう。

壁に激突し、そのまま地面に倒れた。

(なんて力だ……)

俺は意識を失いかけた。

「大丈夫ですか!?」

ルミアは駆け寄ってきた。

「ああ……。なんとかね……」

俺は苦しそうに答えた。

「貴様……。よくもやってくれたな……」

老人は怒りの眼差しを向けた。

「お前こそ……。よくもやってくれやがったな……」

俺は起き上がると、剣を構え直した。

「今度こそ……。死んでもらうぞ……」

老人はニヤリと笑いながら言った。

「悪いけど……。そうはいかないんだよ……」

俺はそう言い返すと、再び攻撃を仕掛けた。だが、やはり結果は同じだった。

「くそぉ……。全然効いてないじゃないか……?」

俺は悔しさに歯噛みした。

「ふっ……。当たり前だろう?こんなもので倒せると思ったのか?」

老人は嘲笑った。

「だったら……これならどうかしら?」

その時、背後から声が聞こえてきた。

「リーホーアスカ!」呪文を唱えると、無数の光の矢が現れた。

そして、それらは一斉に襲いかかった。しかし、老人に当たることはなかった。

(どういうことだ?)

俺は疑問に思いながらも、チャンスだと思い、その隙を狙って攻撃をしようとした。

だが、老人は俺の攻撃を防ぐと、逆に強烈な蹴りを放ってきた。「ぐわぁ!」

俺はまた壁際まで吹っ飛んでしまった。

「くっ……」

俺は痛みに耐えながらも立ち上がった。

(このままじゃ勝てそうにないか……)

俺はそう判断すると、ある決断をした。

(仕方がない……。使うしかないか……)

俺はそう思うと、呪文を唱えた。

「ホーリー・バリア!」

すると、俺たちの周りに白い光の壁が発生した。

「これでよし……。後は頼むぞ!」

俺はそう言うと、後ろに下がった。

「わかりました!」

彼女はそう返事をすると、老人に向かっていった。

「ほぅ……。面白いものを見せてくれるようだな……」

老人は不敵な笑みを浮かべると、ルミアを迎え撃った。

一方、俺はその様子をただ眺めているだけだった。

(さっきの魔法……。まさかとは思ったが、やっぱり使えたんだな……)

俺はホッと胸を撫で下ろした。(でも、まだ油断はできないぞ……)

俺は気を引き締めると、戦いの行方を見守るのだった。

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