第7話
「やっぱり……。あいつには魔法が通じません……」
ルミアは悔しげに言った。
「それじゃあ……一体どうやって戦えば……」
俺は絶望した。
「とにかく……やってみましょう!」
そう言って、ルミアは杖を構えた。
「わかった……」
俺は覚悟を決めると、再び剣を握った。
「いきますよ!」
彼女は呪文を唱えた。
「ライトニングアロー!!」
無数の稲妻の矢が放たれたが、やはり効果はないようだった。
「ダメか……」
「私に任せて下さい!」
ルミアは自信あり気に前に出た。
「何か作戦があるのか?」
俺は心配になって聞いた。「あります!私のホーリーライトを使えば……きっと倒せます!」
彼女は自信たっぷりに言った。
「わかった……。任せる……」
俺は彼女を信じることにした。
「いきます!」
そう言って、彼女は呪文を唱え始めた。
(頼むぞ……。ルミア……)
俺は祈りながら見守っていた。
「ホーリーライト!」
眩しい光がブリックゴブリンを襲った。
光に包まれると、奴の動きが鈍くなった。
(よし!いけるぞ!)
俺がそう思った瞬間、ブリックゴブリンは雄叫びを上げながら、突進してきた。
「危ない!」
俺は慌てて剣を振り上げた。なんとか敵の攻撃を防ぐことができた。
(危ねぇ……。油断してたら……やられていたな……)
冷や汗が流れた。
「ありがとうございます!」
ルミアは礼を言うと、再び呪文を唱えようとした。
だが、ブリックゴブリンが邪魔をして、思うように唱えることができないようだった。
「くそっ……。なんとかしないと……」
俺は焦りを感じていた。
(考えろ……。考えるんだ……。なにか……方法はあるはずだ……)
必死に頭を働かせた。
(あっ……!あれなら……できるかもしれない!)
俺は閃いた。
「ルミア!俺の合図で同時に技を繰り出すんだ!」
俺は彼女に指示を出した。
「わかりました!やってみます!」
彼女は力強く答えた。
「いくぞ!」
俺は合図を送った。すると、彼女は技を放った。
「ライトニングアロー!」
「ソードスラッシュ!」
二つの技が合わさって、強力な一撃となった。
攻撃を受けたブリックゴブリンは苦しそうな表情を浮かべた。
(もう少しだ!)
俺はそう確信すると、一気に攻め立てた。
「ソードスラッシュ!」
さらに追撃を加えた。
そして、最後の一撃を食らわせることに成功した。
ブリックゴブリンは悲鳴を上げると、その場に倒れた。
(やったのか?)
俺は警戒しながら様子を見ていた。だが、起き上がってくることはなかった。
(倒したようだな……)
俺はホッとした。
「やりましたね!」
ルミアは嬉しそうに笑った。
「ああ!なんとか勝てたな……」
俺は安堵のため息を漏らした。
「これでクエスト達成ですね!」
「そうだな!後は魔石を持ち帰るだけだ!」
俺たちは喜び合っていた。だが、その時だった。
突然、地面が大きく揺れ始めたのだ。
「なんだ!?」
俺は動揺していた。
「地震でしょうか?」
ルミアは冷静だった。
「いや……。これは違う……。もっと別のものだ……」
俺は嫌な予感がした。
そして、それは的中することになったのだ。
なんと、目の前の床が崩れ落ちたのだ。
俺たちはなす術もなく、落下していった。
「うわぁー!」
俺たちは悲鳴を上げながら落ちていった。
そして、気がつくと地面に叩きつけられていた。
「痛たたた……」
俺は痛みに耐えながら立ち上がった。
「大丈夫ですか?」
ルミアも立ち上がり、心配そうに声をかけてきた。
「ああ……。大丈夫だ……」
俺はそう答えた。
「よかったです……。怪我はないみたいですね」
彼女は安心したように微笑んだ。
「ここはどこだろう?」
周りを見渡したが、何も見当たらなかった。
ただただ真っ暗な空間が広がっているだけだった。
「さっきまでいた場所とは違うようですけど……」
不安げにルミアは言った。
「ああ……。とりあえず歩いてみよう」
俺たちはその辺を探索することにした。
しばらく歩くと、大きな扉を見つけた。
「ここに入れということかな?」
俺は不思議に思いながら言った。
「多分そうだと思いますよ……」
ルミアは同意するように言った。
「よし……。入ってみるか……」
俺は意を決して、その扉を開いた。
その部屋は先程よりも広かった。そして、中央には大きな玉座が置かれていた。
その光景を見て、俺は違和感を覚えた。
(あれ?なんかおかしいぞ……)
そのことに気がついて、俺は愕然とした。
(どうして……誰もいないんだ?)
そこには誰の姿もなかったからだ。
「どういうことでしょうか?」
ルミアも同じことを疑問に感じているようだった。
「わからない……」
俺は首を振った。
(罠だろうか……?)
そう考えた時だった。突然、背後から声が聞こえてきた。
「よく来たな……」
振り返ると、そこには白いローブを着た老人がいた。
「お前は一体……?」
俺は警戒しながら聞いた。
「わしの名はバアル……この世界の支配者じゃ……」
老人はそう名乗ると、不敵な笑みを浮かべた。
「支配者だと……?」
俺は戸惑いながら聞き返した。
「そうじゃ……。お主らは選ばれたのだよ……」
彼は意味深なことを口にした。
「一体何の話をしているんだ……?」
俺は困惑しながら聞いた。
「ふむ……。まだ話しても無駄か……。まあよい……。いずれわかることだ……。それよりも……面白いものを見せてやろう……」
そう言うと、老人は呪文を唱え始めた。
「インフェルノ!」
次の瞬間、巨大な炎が出現した。
「危ない!」
俺は慌てて剣を構えた。だが、間に合いそうになかった。
(ダメか……。ここまでなのか……)
俺は死を覚悟した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます