第5話
「何か事情があるみたいだね……」
「はい……。実は……」
「もしかして……家族のためか?」
「は、はい……。そうです……」
「やっぱりか……。俺も似たような境遇だから、何となくわかっていたんだよ」
「えっ!?」
「俺の姉さんも……ある日いなくなってしまったからね……。多分……同じ理由だと思う……」
「そうだったんですね……。なんだか……親近感が湧きました!」
彼女は笑顔を見せた。
「ははっ、そうだな……。それなら……良かったよ……」
「はい!」
彼女の元気の良い返事を聞いて、俺は微笑みながら眠りについた。
次の日の朝、俺は食堂へと向かった。
「おはようございます!」
そこには、すでに朝食を食べ終えていた彼女が座っていた。
「ああ……。早いね……」
「はい、今日は早めに起きたかったので……」
「なるほど……。ちなみに……いつもはどのくらいの時間に起きるんだい?」
「だいたい6時ぐらいですね……」
「へぇー、結構遅い時間だな……」
「そうですね……。もう少し早く起きられるといいんですけどね……」
「まぁ……人それぞれだし、しょうがないんじゃないか?俺だって……もっと寝ていたいし……」
「確かにそうかもしれませんね……。あっ、そういえば……」
彼女は思い出したように言った。「ん?」
「私、今日から依頼を受けようと思っているのですが……」
「なるほど……。そうか……」
「一緒に受けてもらえたりしませんか……?」
彼女は不安げな表情で聞いた。
「もちろんいいぞ」
「本当ですか……?」
「ああ」
「やったあ!!」
彼女は嬉しそうに叫んだ。
その声を聞いた周りの客たちが一斉にこっちを見た。
「おい……静かにしてくれよ……」
「す、すみませんでした……」
彼女は恥ずかしそうにして謝った。
それから、俺たちはギルドへ向かった。
「ここがギルドか……」
「はい……」
「大きいな……」
俺は建物の大きさを見て驚いた。
「とりあえず入りましょうか……」
俺たちはそのまま中へと入っていった。
「これはこれは……可愛いお嬢ちゃんじゃないの〜♪」
受付の男がニヤリとして言った。
「ちょっと……やめてください……」
彼女は嫌がっている様子だった。
すると、男は急に真面目な顔になった。
そして、小さな声で囁いた。「お前ら……あいつの仲間か?」
(えっ……?)
「いや……違いますよ……」
俺は咄嵯に否定した。「本当に違うのか……?」
さらに近づいてきて小声で聞いてきた。
「はい……」
「ならいいんだがな……」
そう言って、彼は元の位置に戻った。
「あなたは……どうしてそんなことを聞くんですか?」
「ああ……。最近、この街で殺人鬼が出るっていう噂があってな……」
「殺人鬼……?」
俺は思わず聞き返してしまった。
「そうだ……。そいつは……女ばかりを狙って殺しているらしい……」
「なんでまた……そんなことを……」
「わからねぇ……。だが、気をつけろよ……。最近は物騒な世の中だからな……」
「わかりました……」
俺は真剣に忠告を聞いていた。
「ところで……依頼を探しに来たんだろう?」
「はい」
「それなら……これなんかどうだ?」
そう言って彼が渡してきたのは、「アクマレックス討伐」と書かれた紙だった。
「ありがとうございます」俺は礼を言い、早速その依頼を受けることにした。
その後、手続きを終え、街を出た。
「まずは……この森にいるスライムを倒すぞ」
「はい!」
「よし!行こう!」
俺は走り出した。
「あっ、待ってください!」
ルミアも慌てて追いかけてきた。
「おっと!」
しかし、慣れない足場のせいで転んでしまった。
「大丈夫か……?」
俺は心配して駆け寄った。
「はい……。なんとか……」
彼女は立ち上がると、服についた土を払っている。
「怪我はないか……?」
「はい!全然平気です!」
元気よく返事をした。
「そっか……。それは良かった」
「ご迷惑をおかけしました……」
「気にするな……。それより……早く行くぞ」
「はい!」
俺たちは再び歩き始めた。
しばらく歩くと、前方に大きなモンスターが現れた。「あれが……アクマレックスか……」
俺は剣を構えた。
「私がやります!」
ルミアも杖を取り出した。
「援護は任せてくれ!」
俺が言うと同時に、彼女は呪文を唱えた。
「ダンサーライトニング!」
雷が落ちたような音が響き渡り、同時に激しい光が辺りを埋め尽くした。
視界が戻る頃には、アクマレックスの姿はなかった。
「すごいな……。一発で倒すなんて……」
俺は驚きの声を上げた。
「いえ……。私には……これが限界ですよ……」
彼女は悲しげな表情で答えた。
「でも……今の魔法……すごくカッコ良かったぜ……」
「そうですか……?ありがとうございます……」
彼女は嬉しそうに笑った。
それから、俺たちは森の中を進み続けた。
すると、遠くの方から何かの鳴き声が聞こえてきた。
「なんだ!?」
俺は警戒しながら前に進んだ。そこには、全身が緑色の小さなドラゴンがいた。
おそらく、こいつが「ゴブリン」だろう。
しかし、その大きさは通常の倍以上あった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます