第8話 魔剣

 メイとナナは、魔物を倒し魔石と鉱石を砕いて青銅の剣と鋼の剣を鍛えます。イナリから、更に強力な材質へと変更が出来ると聞いて張り切っているのです。


 その努力が実り、青銅の剣はミスリルの剣となり、鋼の剣はステンレスの剣となりました。


「「なんだか狐につままれた気分だ」わ」

「こうかい?」

「「痛たたた」」


 2人とも、イナリに頬をつままれるのでした。


 材質変化に味をしめた2人は、どんどん剣の材質変化を進めて行きました。見知らぬ材質になっても、なんか切れ味が増しているので、さらに材質変化を進める次第です。


「117M合金って何かしら……」

「388S合金……、聞いたことが無いな」


「2人とも、気分はこうかい?」

「「痛たたた」」


 2人が調子に乗って材質変化を繰り返し、未知の合金で出来た怪しく光る剣を前に呟いていると、イナリが2人の気持ちを代弁するかのように頬をつまむのでした。


 取りあえず、謎合金の剣を最高品質にするべく魔物を倒し魔石を砕いていると、腕輪のチャイムが鳴りました。


「新しいミッションが現れたわ!」

「ほう、どんなミッションだ?」


『トレント切って武器を鍛えろ!』


「トレントって……」

「木の魔物だな。早速倒しに行こう!」


 メイとナナは、トレントの森と呼ばれる階層へ向かいました。そこらじゅうにトレントが生えています。


「あんな太い木の魔物が切れるのかしら……」

「大丈夫だ、鍛え上げた武器を信じろ」


 心配そうなメイに、ナナは余裕の笑顔で助言します。さすがは旅の剣士といったところです。


「あら? あっさり切れたわ」

「ふふ、剣の切れ味が鋭いからな。怖いくらいに良く切れる」


 謎合金の剣は、かなり切れ味が鋭く、鉄ほどに硬いとされるトレントといえども気持ちのいいほどスパスパ切り裂くことが出来ました。

 切られたトレントは光の粒となり、剣に吸い込まれてゆきました。


 メイとナナは、調子に乗ってどんどんトレントを伐採していきました。

 ナナの方が地力が強いのでしょう、高笑いしながらメイより早くトレントを切りまくります。


 ピンポーン♪


「あら?チャイムが鳴ったわ」

「この感じ、どうやら私の剣が更なる進化を求めているようだ」


「本当だわ。ナナの剣が進化できますって出ているわ」

「さっそく進化させてくれ」


 メイはナナが持つ剣に触れると、腕輪の画面を操作して剣を進化させました。

 ナナの剣は淡い光を放つと、形を変えました。


「炎の剣になったみたいだわ」

「なんと、魔剣が出来たのか!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る