第2話配属

卒業式から帰ると、郵便届いてたよーと母に言われた。見てみると内定先の証券会社からだ。要確認の印が押された封筒を開けてみると、雇用通知書や社員寮の案内だった。果たして何支店の営業なのか、、とドキドキして見ると支店の文字がどこにも見当たらず、配属先にはただ「リスクマネジメント部」とだけ書かれている。え、支店は?どこの部?と疑問に感じながらスマホで確認してみる。

リスクマネジメント部東京本社。

「なにぃぃ」

「ケースケどうしたの?」

「いや、本社配属なんだけど」

「え、あんた営業で可愛い子と働きたくてこの会社にしたのについてないねぇ」

「、、、」さすが実の親だけあってこのことをよくわかっている、、なんて思っている場合ではない。そう、男だらけのむさくるしい環境と、パソコンをいじりっぱなしというのが嫌でこの学部ではレアな文系就職をしたんだ。それが本社配属!?こんなんメーカーに入るのと変わらないじゃないか、、

ぶつくさ不満を口にしつつ部署紹介ページを見ると、案の定おじさんが堅苦しい顔でパソコンを眺めている写真が目に入る。営業部署は美女トップセールスウーマンが所狭しと大勢写っていたのに、だ。

せめて家だけはいいとこにしてくれ、、と案内を見ると葛飾区と記載がある。おいおい、眉毛の繋がった警察官のイメージしかない町じゃないか。いや、でもあのアニメには美女がやたらと出てくるからもしかしたら可愛い子いっぱいいるんじゃね?寮も新築だしこれはいけるぞ!我ながら人にポジティブバカと言われるだけのことはある。配属のことなど忘れて葛飾区での甘い生活が脳内再生される。

「顔キモくなってる」

普段滅多に喋らない姉がこういう時だけは口を挟んでくる。だが構わない。1週間後にはこの慣れ親しんだ実家を出て葛飾で夢の独身生活が待っているのだから。

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