第7話
ハンバーグを食べ終えて、皿を二人分洗い終えた翔は普通に質問する。下心とか関係なく。
「お風呂ってどっちが先に入るの?」
「うーん。どっちからでもいいけど、じゃあ翔からかな。私、ゆっくりお風呂に入りたいタイプだから、後がつっかえてると思うと焦っちゃう」
というわけで、と言ってお風呂を指さす沙和ちゃん。必要最低限をまとめたスーツケースの中にはもちろんシャンプーも入っている。
「私のシャンプーとか使っていいけど使いすぎないでね?」
「自分のがあるから大丈夫。いや、沙和ちゃんと同じ香りになるのもありか·····」
「気持ち悪い。もう貸してあげない」
「うそだって。そんなこと1ミリも思ってないから」
俺がそういうとジト目で俺の事を見る沙和ちゃん。そして警察官が取り調べをする時のような声で言う。
「本当に1ミリもないの?」
「·····ちょっとだけありました」
沙和ちゃんに嘘をつくということをあまりしたくない俺は正直に吐く俺だった。そんな俺に腕を組んで、ニカッと笑う沙和ちゃん。
「じゃあ、貸してあげない」
「反則だ·····。正直に言ったから執行猶予をお願いします」
「嘘。いいよ、使っても。ほら、早くお風呂に行く!」
「はーい!」
元気よく返事をして、バスルームへと歩みを進めた。シャワーと湯船という一般的な作りだった。トイレと別というのはありがたい。
沙和ちゃんは、いつもここで体を洗っているのか·····。若干の興奮を覚えた俺は邪念を振り払うべく、手短にお風呂済ませた。
適当に頭を吹いて、パジャマを着るとスマホを眺めていた沙和ちゃんに声をかける。
「お先でした·····。じゃあ次、沙和ちゃん入っていいよ」
俺がそういうと、スマホを置いた沙和ちゃんが言い聞かせるように言うのだった。
「·····覗かないでね?ラブコメだったらありだけど、現実でやったら信頼を失うだけだから」
「さすがにやらないよ。·····紳士だし」
「目、泳ぎまくってるよ。じゃ、行ってくるね」
釘をさしてお風呂に行った沙和ちゃん。あんなことを言われたら、覗きたくても覗けないじゃないか。悔しい。
「ま、彼氏になれば見れるか。ていうか見る以上のことを·····。いやいや、高校生ではまだ早いか·····」
沙和ちゃんの気持ちそっちおけで自問自答を繰り返す。妄想は無料だし、いちばん楽しい。
でも女の子と同棲する上で、高校生の性欲というものは計り知れないのだ。どうしたものか·····。
そんなどうでもいいことを思ったり、元々少ない友達のイン〇タのストーリーを見たりして時間を潰した。
時刻はもう11時を回ろうとしている。いつもの俺なら寝ている時間。浴室のドアが空いた音が聞こえる。
「気持ちよかったぁ!」
そう言って、手にドライヤーを持った沙和ちゃんが部屋に入ってくる。あられもない姿で。
紫の下着に肩にタオルをかけていると言うだけの姿。これが普通なのか、これが最近のJKなのか。
でもさすがに気になる。俺が意を決して問いかけてみる。
「沙和ちゃん、その格好·····」
「ん、え、あぁ!?やっちゃったあ!」
そう言って、半分裏返ったような声を上げて脱衣場に逃げ込んだ。待って。俺がいることを忘れてたってことは·····。あれはガチの下着。
「·····えろすぎる」
翔のなにかにぶつけようのない性欲がただただ溜まっただけだった。
♣♣
僕にとったら読者の皆さんの星がご褒美です。
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