第13話「サボテン」

美世「暑さに耐えるサボテンって、謎にカッコよくない!?」

理子「(新聞を閉じて)は?」

美世「この灼熱の、東京砂漠。その地獄の中でも、全然平気な顔して、ニョキって! もう、すごすぎ!」

理子「サボテンは元々そういうものだろ」

美世「世界の温暖化が進んだら、みんなサボテン化するしかないんだから! 今からサボテンを見習って! 体力をつけよう!」

理子「どういうことよ」

美世「サボテン・トレーニング!」

理子「いや意味わからんよ……。サボテンはサボテンでしょ。確かに暑さには強いけど。でも。逆に水を与えすぎるとダメになるし」

美世「え? そうなの?」

理子「そう。昔、うちで育てたことあって、水あげすぎてダメにしちゃったことある」

美世「そうなんだ……。やっぱり、サボテンってストイックなんだね!」

理子「ストイック?」

美世「水なんて、ちょっとあればいいんだ、たくさんはいらない。むしろ、必要最小限でいい。って、甘やかされたくないんだろうね。超節約家!」

理子「んー。まあ……そういう見方も」

美世「省エネ・サボテン」

理子「確かに生きるのに必要なエネルギーが少なくて済むのは節約にあたるのかな」

美世「よし! 私も我慢しよう」

理子「いやいや。美世はサボテンじゃないから。逆効果でしょ!」

美世「あ。そっか。倒れちゃうか……」

理子「そうだよ。私たちはサボテンにはなれないんだから。真似しても無駄」

美世「でもやっぱり私、サボテンみたいになりたいよ。ストイックにこの暑さと戦える力が欲しい!」

理子「サボテンはサボテンで、生き残る知恵をもった植物ではあるんだろうけど……。とにかく美世は倒れる前に水分補給すべし」

美世「はーい」

   ゴクゴクと水を飲む美世。

理子「いい飲みっぷり」

美世「水、うまし!」


理子のMO「ああ。私たちは、サボテンみたいに生き残る知恵を探し続けていくのかな。夏の暑さにちょっとボンヤリした」

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