第3話「不測の事態」
美世「理子! 大変だ! 不測の事態だ!」
理子「(新聞を閉じて)え? 何?」
美世「理子。実は……今日、お弁当忘れちゃって! 昼抜きだったんだよぅ……。もうペコペコでさあ」
理子「なんだ、そんなで世界は終らないよ」
美世「私史上、前代未聞、不測の事態だよ!」
理子「いや、不測の事態っていうのは、予測できないコロナの感染拡大、みたいな状況のことを言うのであって。美世のは違う」
美世「私のエネルギー問題があああっ! 枯渇している……資源の枯渇だよ。死ぬう」
理子「効率の悪い火力発電所みたい……」
美世「もしくは、燃費の悪い車状態」
理子「なら、もっとエコを推し進めなさい」
美世「我慢しろ、ってこと……?」
理子「一食ぐらい抜いても、実際、死ぬわけじゃあるまいし……ワーワー騒ぎすぎ」
美世「でも、限界なのだよお。冷たいこと言わないで、何か食べ物分けておくれよ」
理子「はあ? 無理」
美世「奇跡的にお昼余ってたりしない?」
理子「余ってません。私、お昼は、ゼリーだから」
美世「え? それだけ? 足りなくない?」
理子「それだけで十分」
美世「パワーでなくない? でないよね?」
理子「省エネで出来ているので、問題なし」
美世「えー。信じられない。うちら食べ盛りの高校生じゃん!」
理子「私にはゼリーで十分。逆に、食べると頭痛くなるし」
美世「そうなんだ……がっくし……バタン!」
理子「ちょっとそこ、倒れない」
美世「だってー」
理子「もう。予備のゼリー、持ってたはずだから。いる?」
美世「え!? ほんと!? いるいる!」
理子、ゼリーを取り出し美世に渡す。
理子「仕方ないなあ。大事にたべ」
美世「かたじけない! 私も不測の事態に備えて、これからゼリー持って歩こ!」
理子「大切に飲みたまえ」
美世「(ゼリーを飲んで)ああ。生き返った」
理子「単純だなあ。200円いただきます」
美世「えっ、高っ!」
理子「これ定価」
美世「ディスカウント!」
理子「無理ー」
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