第2話「責任とスケープゴート」
理子「責任って何だろう」
美世「責任?」
理子「そう。世間が大騒ぎになるたびに、みんな、誰が悪いかの悪者探しが始まるの、私嫌い」
美世「でも誰かが責任を取らないといけないこともあるんじゃないの?」
理子「それは……そうだけど……。まるで、イジメみたいじゃない? 見てて、気持ち悪い」
美世「まあね。みんなビシバシ責任の擦り付け合いだもんね」
理子「みんな自分が大事だから。他人を責めたくなる。でも、それって間違ってる」
美世「まあね」
理子「間違っていることは間違っている!」
美世「不条理ですなあ」
理子「スケープゴートってあるじゃん」
美世「スケープゴート?」
理子「生贄とか身代わりとかいう意味で。集団の不平や憎悪をほかにそらすために、罪や責任をかぶせられて迫害される人のことを言うんだけど」
美世「なるほど。《今の社会が、スケープゴートは誰だ!》状態になっているということ?」
理子「そう!」
美世「うーん。なんか、羊の群れが、オオカミから身を守るために、犠牲となる一匹を決める。みたいな感じ?」
理子「そうそう! でも。それって問題の本質から目をそらす行為だと思うんだよね」
美世「じゃあ。理子はどうしたらいいと思う?」
理子「うーん……」
美世「責任の所在をハッキリさせておくことが大事なのかなあ」
理子「なるほど。それもあるかも……」
美世「責任をとるか、とらないか。じゃなくて。任せろ、っていう人がちゃんと立っていてくれたら安心だよね」
理子「私、この問題を考えるたびに思うよ、大人になりたくない。責任をとれる大人になりたいけど、なれるのかなって」
美世「確かに不安かも」
理子のMO「私たちのこの感覚はいつか大人になったら忘れてしまうものなのだろうか。だとしたら……私は少し怖くなって、新聞に目をおとした……」
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