魔法少女、アンドロイド、超能力者なヒロインたちの傍にいがちな『理解ある彼くん』になってしまいました!メンヘラな彼女たちへの理解力が足りないと、世界が滅びます!誰かマジで代わってくれよ…
第5話 黒幕がヒラヒラしてヒロインのパンツ丸見え!
第5話 黒幕がヒラヒラしてヒロインのパンツ丸見え!
使い魔にして、サイボーグであり、ミュータントな俺の一週間はきつい…。
リアナ、ファイロー、リシェルディスはそれぞれがそれぞれの敵から世界を守るために戦っている。そして俺は当然のようにそれにかりだされるのだ。みんな一週間に一度は、敵のボスっぽいやつが現れる。そして彼女たちにボコボコにされ、無残に散っていくのだ…。俺ですか?特に何もやってない。彼女たちの傍で主に理解のある振りをして、応援するだけだ。
例えばリアナの場合。
「くっ…此処までなの…?!やっぱりわたしなんかじゃ世界を守れないの…?」
「たぬたぬぬぬたぬたぬたぬぬぬたぬううううううう!!!(大丈夫だリアナ!俺が憑いてる!いつでも君の傍にいるよ(イケボ)!!)」
「ああっん!正義全開になっちゃた!溢れ出るぅ!大正義を魅せてあげる!!神威統一!インソニア・バスタぁあああああああああああああああああああああ!!!」
使い魔としてリアナの肩の上に乗っかって、ホストの如く囁いてやる気にさせたり。
例えばファイローの場合。
「ぐぅうう!しょせんわたくし如きでは不良品では…人類を守るなんて崇高な使命を果たすことは…」
「そんなことないさファイロー。君はいつだって頑張ってるって俺だけは知ってるよ…」
「んんっ!!こ、これは!?胸が熱く…?!感情が!機械のはずのわたくしに感情の力が!!これが愛!!王威専断‼シュレディンガー・ぶれぇえええええええええええええええどぉおお!!」
ルガールキスは複座型のコクピットなのに、わざわざ俺の膝の上に座って、ひたすら叫ぶファイローを後ろからぎゅっと抱きしめて、俺は甘く囁く。ファイローはポンコツ(比喩に非ず)なので、機械のはずなのにすぐに感情が湧き出てくる。
例えばリシェルディスの場合。
「…今日も自分が守るべき、合衆国市民は守りきれた…だけど…敵である彼ら超能力者なんだ…ジブンと同じ…ジブンは同胞の命を狩る卑怯者でしかないんだ…」
「そんなことないよ…例え気味が否定しても、俺は君が優しい女の子だって知ってるから。だから…だから…笑ってよ。嘘でもいいから…俺に微笑んでくれ…」
「…こんなジブンに、君は笑ってと言ってくれるのか…?…ごめんなさい…笑いたいのに…!ううっ!うぁああああああん」
「…いいんだよ。リシェルディス…君はいい子だよ。ずっとずっと頑張ってる優しい子だ…」
超能力者との戦闘が終わるたびに、メンヘラタイムになるリシェルディスを抱きしめて、デトックスの為に泣かせてあやしてあげたり。
とまあこんな感じであいつらの世話を焼いている俺だが、当然負担が大きい。具体的に言うと、すごく疲れる…。なにせあいつ等が負けたら世界は終わりである。メンタルケアは欠かせないのだ。だけど俺は役者であって、ホストではない。あいつらはイロモノキャラだが、彼女たちの苦悩は本物だ。俺はその感情に当てられて心底参っていた。だから日曜日は誰とも会わず、一人で部屋でぼーっと過ごすことにしたのだ。
「やべぇよ。メッチャ重いよ…誰代ってくれぇ…」
壁に背を預けて、体育座りしながら、ブツブツと呟く俺is超可哀そう。そんな時だ。ピンポーンと、俺の部屋の呼び鈴が鳴った。とっさに身構えてしまう。あいつ等の誰かが来たのか?日曜日くらいは自由にさせて欲しい。だけど無視は即世界の終わりを意味する。だから俺は玄関の扉を開けた。するとそこにいたのは。
「おっはろー!パイセンが元気無さそうだから遊びにきてやったゾ♡感謝しやがれ♡」
小悪魔系アホJK後輩なマロニエがそこにいた。休日なのに制服着てるし、なんか菓子折り持ってる。心遣いはすごくありがたいんだけど…。
「…気持ちはありがたいんだけど…すごく疲れてて…悪いけど…」
「えー?帰れってことですかぁ?こんなに可愛い後輩を放っておいて?てか美少女が看病に来たのに、拒否るとか!パイセン枯れてません?やば!」
「一人になりたいんだよ…とにかく色々あってすごく疲れてるからさ」
「確かにそうですね。色々ありましたもんね」
マロニエは俺が魔法少女の使い魔になったことは知っている。だけど、さらにサイボーグやミュータントになったことまでは流石に教えていない。だって可哀そうだろう。他にも世界の危機があるなんて、普通の女の子は知らない方が絶対にいいに決まってる。なのにマロニエは酷く獰猛な笑みを浮かべて。
「月曜日。府中市に現れたムンドゥス・コンコルディアの怪人を魔法少女リアナと共にこれを撃退。パイセンは世界を守りました」
使い魔になったことは知っているけど、具体的にどこでバトルしてるかなんて言った覚えはない。なぜマロニエが知っているんだ?
「水曜日。月の裏側に現れたディンギルのロボット兵器を、アンドロイド・ファイローとその愛機ルガールキスにて撃退。パイセンはまたも世界を守りました」
俺は目を見開いた。ファイローのことは知らないはずなのに戦闘の詳細まで知っているような口ぶり。
「金曜日。アジア某国にてテロを画策していたネオ・ヒューマン・コモンウェルスの超能力者テログループをリシェルディス・ハワード大尉と彼女が率いるネイビーシールズと共に撃滅。パイセンは二度ならず三度も世界を守りました」
マロニエは優し気に微笑んでいる。その瞳にはどこか俺へのリスペクトさえも感じる。だけどどう考えてもおかしい。なぜマロニエは俺が彼女たちと世界を守っていることを知っているんだ?
「部屋、入れてくれますよね?」
「…どうぞ」
俺はマロニエを部屋の中にご招待した。
マロニエは俺の部屋のベットに寝転んで、お土産のプリンを食べている。その顔は呑気でピチピチで恐れ知らずのJK様そのものだ。なお少しスカートがめくれてピンク色のデルタゾーンパンチラが見えている。
「パイセン、ガン見し過ぎ―!きゃはは!なんだ枯れてないじゃーん!よかったよかった。うんうん」
「腹立つわー。そこはいじらしく恥ずかしがれよ」
「すみませんねー。わたしサバサバ系なんですよーきゃは!パンチラくらい気にしませーん!」
それどころか、スカートの裾をつまんでひらひらと持ち上げたり放したりしてみたりして、俺を挑発してくる。太ももがエッチです!きっとすべすべしてるんだろうな…。
「ま、先輩もJKのパンチラで元気になったでしょうし、そろそろシリアスな話しましょうか…」
「うわ…聞きたくねー。どうせお前も、世界を守ってる系ヒロインなんだろ!わかってんだよ!」
「逆です」
マロニエは寝転がったまま、ひどくシリアスな顔をした。でもプリンを食べるのはやめない。
「はい?」
「わたしは世界を滅ぼす側です。アレですよアレ!ほら!いわゆる黒幕系ラスボスヒロイン!かわいいでしょ!」
黒幕…?!ラスボス?!何言ってんだこいつ!?
「やだなぁマロマロちゃん!普通にアレだよ!アレ!まだまだ色んなヒロイン属性余ってっから!わざわざ黒幕とかラスボスとか言わなくてもいいんだよ…?」
「残念ですけどー。わたしがぁーラスボスでーす!きゃは!いいぇーい!拍手―!」
プリンのスプーンを咥えながら、一人でぱちぱちと拍手をする姿は可愛い。だけど理解が追い付かない。ラスボス…?
「あのー。百歩譲ってお前がラスボスなのはいいとしても、何で俺のところに来たの?理由が全くわかんないんだけど?」
「ええ、ちょっとテコ入れって奴ですよ!なにせリアナ先輩も、ファイローちゃんも、リシェルディスさんもどいつもこいつも強すぎるんですよ!このままだとあっと言う間に、彼女たちの敵は遠からず駆逐されてしまいます!」
まああいつらいっちゃあれだけど滅茶苦茶強い。弱点がメンタルしかない。地力なら敵相手に一切の遅れをとったりはしないだろう。メンタルが弱いから、すぐに凹んで使い物にならなくなりがちだけどな!
「いいことじゃないか。世界を滅ぼすやつらがいなくなるなんてサイコーじゃない?」
「こっちとしては困るんですよね。彼女たちが暇になっちゃうととてもとても困っちゃうんですよ!なんでだかわかりますかぁ?!はい、パイセン!」
「彼女たちが一致団結して、お前をボコりに来るから?」
「ぶっぶー!正解は、暇になった彼女たちがあなたを巡って争いだして、世界がそれに巻き込まれて滅びるからです!まったく!アクの強い戦闘系ヒロインって奴は困るぜ!」
「…あ!ああああああ!その可能性はガチだ!ヤバい!まじかよ?!くそ?!」
「彼女たちは今のところ自分の敵に集中してるので、パイセンが他の女の理解ある彼くんやってることに気がついていません。ですが暇になればすぐにでも気がつくでしょう。そうなれば…あなたを巡って互いに殺し合いをはじめてもおかしくはないですよね?なにせあの人たち揃いも揃ってメンヘラなんですから!!わたしいやですよ!世界を滅ぼす前にイケメンと初体験くらいはキメておきたいんですから!わたし以外に世界が滅ぼされるのは勘弁です!」
マロニエはニヤニヤと笑っている。ついでに足を組み替えるたびにパンツがチラチラしてる。尊い!エモい!かわいい!
「驚愕の真実が明かされても、目の前のパンチラに目を向けるパイセンパネェ…!そんなに私の事好きっすか?」
「割と好きだよ。俺が芸能界干されても、変わらずに接してくれたの、お前だけだもん。だからお前のことをいっぱい見てて可愛いところいっぱい知ってるつもり。だからお前の事、俺は好きだよ」
俺の告白にマロニエは少し頬を赤く染めている。ちょっと唐突過ぎたかもしれん。だけど好きなのは本当。
「…えーっと…ガチ告白ちょっと…あれぇ…あはは…ちょっと恥ずかしいんですけど…あれ…ええへへ」
マロニエは緩む頬を撫でている。多少は脈あるのかなこれ?
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