ACT 3.5 メイドのアリアさんの妹に関する日誌

 妹に関する備忘録を以下、記載します。


 姉妹関係は,呼び方じゃ変わらないという事実には驚きました。

 家族というものはそんなに特別な関係のようですね。

 私には、家族というものがいまいち理解できません。

 もちろん言葉の意味としては、インプットされております。

 しかしながら本質的なものを掴めていませんでした。

 私にとって家族と言うべき存在を探すなら、それはマスターのことでしょうか。

 でもマスターは私の創造主であり、純粋な家族とは違います。

 家族というものが非効率な存在なのは、他の映像作品からも明らかです。

 ですが当事者たちは幸せそうなのです。

 マスターから“お姉ちゃん”と呼んで頂けた際――何も感じなかったわけではありません。

 マスターにはよく分からないと申し上げたのですが、実際、胸の奥がなんだか変な気持ちになったのです。

 不調ではありません。

 私を構成する全ての機能がオールグリーン――問題なしを表示していることは、月に1度行われる定期検査からも明らかなのですから。

 あの時に感じたものは一体なんだったのでしょうか。

 不愉快というわけでも、ましてや何も感じなかったわけでもなく。

 もっと……別の種類の――。

 これ以上、今私が感じているものを言語するには、何かが欠けているようです。

 マスターに造られたものとして嘆かわしい限りではございますが、ひとまずこの課題に関しては、のちのちの解決に回すべきと判断します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アンドロイドメイドのアリアさんは興味津々 魚谷 @URYO

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ