境界をこえて…
鈴ノ木 鈴ノ子
きょうかいをこえて…
あの時を境に世界は一変した。
正義の戦争が悪の戦争になったのだ。
与えられた正義が正義なのかも分からずに。
あの時から境界は徐々に歪みを帯びてきた。
脈々と受け継がれた歴史を歪ませ。
脈々と受け継がれてきた文化を歪ませ。
脈々と受け継がれてきた暮らしを歪ませ。
外から来るものは正義であり、過去に残るものは悪であるというかのように。
その歪みが現代社会をさらに狂わせていく。
そろそろ、立ち止まるべきではないか?
そろそろ、見つめ直すべきではないか?
そろそろ、考え直すべきではないか?
文化が成熟したのなら、子供が大人になるように、分別がつく頃合いだろう。
未来を見つめる視線は、今の理解ができてこそ、その先が見通せるのだ。
外に惑わされず、されど、外を見据えながら。
それを融合し良い方向へと持ってゆく。
過去を語ることが、過去を振り返ることが、全て悪であると考える必要はない。
国家が国民を守れず、軍隊が領土と国民を守るという当たり前のことができなかった。
だが、その元凶を作ったのは、徳川の世から取って代わり、近代化を押し進めたことではないだろうか。
それが必要であったことは確かだが、そこに全てを否定する力を与えてはならない。
過去もまた未来に必要であり、そして、未来もまた過去を必要とする。
それを見直さない限り、我々は歪んだ鏡の虚を見続けることになるのではないだろうか。
近代以前の更なる更なる過去を学べ、あの忌まわしい戦争に再びならぬために、
どこで道を誤ったのか、どこを正せばよかったのか、どこに更なる過去を取り入れればよかったのか
思考し思案せよ、それが糧になるだろう。
分け隔てなく考えよ、嫌なことも良いことも聞くのだ。
そうすれば、それは真の意味での差別を消し去ることになるだろう。
誰が悪く、誰が良い、という簡単な言語で終わらせることはない。
どうすれば最善であったのか?
思考者が解答を得ることができないだろうが未来の誰が解答を得るだろう。
境界をこえて… 鈴ノ木 鈴ノ子 @suzunokisuzunoki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます