第34話 五番隊隊長の異論
「俺は聞いてねぇぞ!! こんな醜悪なモンスターがうちの新隊長だと!!? 笑わせんじゃねぇ!!!」
誰も異を唱えない中、大のモンスター嫌いである五番隊隊長のグランドが、俺の隊長就任に抗議した。
「これは、総帥と四番隊が決めた事だ!! お前には関係ないだろう!!」
オリビアが反論するが、グランドは引き下がらない。
「黙れ!!! いつからテメェらはモンスターに甘くなったんだ!!!? ああ!!!?」
「モンスターを入団させた時点で虫唾が走るが、まだ目をつむる事は出来た!!! だが今回は我慢できねぇ!!!」
そして、グランドはドシドシと俺に近づいてきた。
「テメェもよぉ、何、自分は関係ねぇ見てぇな顔してんだ!!!?」
「はぁ!!?」
グランドのあまりに理不尽な物言いに俺は怒りをあらわにした。
「お前なぁ!!! さっきから言わせておけばふざけた事ばかりほざきやがって!!!」
「大体お前!!! 『モンスターは全員駆逐する』とか言ってた癖に、今回の任務は俺らに丸投げだっただろうが!!!」
「お前のそれは、結局口だけなんだろ!!!?」
すると突然、グランドに丸太の様に太い腕で思いっきり殴られた。
「うるせぇ!!! モンスター同士が潰し合うんだぜ!!!? 俺にとっちゃ好都合なんだよ!!!」
「これはな、戦略的な丸投げだ!!!」
グランドは見苦しいほどの言い訳を並べながら、俺を殴り続ける!!!
「シリウスくん!!!」
そこへ、ライムがグランドの暴挙を止めに入った。
「やめて、グランドさん!!!」
「黙れ!!! 副隊長止まりが!!!」
コイツ!!! 俺ならともかく、ライムに手を上げやがった!!!
「いい加減にしろよ!!! クソ野郎が!!!」
俺は渾身の力で、巨体のグランドを蹴り飛ばすと、すぐに倒れこんでいるライムに駆け寄り抱きしめた。
そして、グランドに言い放つ。
「テメェは一体何なんだ!!!? 俺に何の恨みがあるんだよ!!!?」
「大体、テメェの母さん殺したモンスターと俺は無関係だろうが!!!」
「それに、ライムは俺の仲間だ!!! 俺だけならともかく、コイツに手を出すことは絶対に許さねぇ!!!」
すると、グランドが口を開く。
「俺達がどれだけの時間をかけて隊長の座に着いたと思ってんだ!!!?」
「サラでさえ、三か月だ!!! あれだけの素質がありながらな!!! だが、テメェはどうだ!!!? 強さの欠片もねぇ、醜悪な姿をしたただのモンスターだ!!!」
「テメェはリバイアサンに勝った訳ではない!!! 偶然マインのおこぼれを拾ったのが、決定打になっただけだろうが!!!」
「テメェ自体はただの足手まとい!!! うちの疫病神だ!!!」
確かに、とどめを刺したのは俺だが、アイツとまともにやり合えていたのはマインだけだった。
「そんな言い方無いよ!!! マインさんと一緒に戦っていたのは、わたしじゃ無くて、シリウスくんだよ!!!」
そんな俺をライムは涙ながらにフォローする。
すると、グランドは四番隊の事まで侮辱しだしやがった。
「マインが居なくなった以上、四番隊も終わりだな!!!」
「当然の報いだ!!! 悪魔をかくまったんだからな!!!」
「そもそも、俺はマインも気に食わなかったから、死んで好都合だ!!!」
「なのに今度はポット出のその悪魔が隊長就任か!!!? ふざけんじゃねぇぞ!!!」
グランドの発言に、堪忍袋の緒が切れた俺は立ち上がり、ついにぶち切れる!!
「ふざけてんのはそっちだろうが!!! 俺の仲間を侮辱しやがって!!!」
「マインが亡くなった後、悲しみの呪縛に苦しんでいる奴や、討伐に参加できなかった自分を責め続けている奴だっているんだぞ!!!」
「テメェだって親を殺されたなら、俺の気持ちがわかるだろ!!!? なんでそんなひどい事が言えるんだ!!!」
侮辱された怒り、失った悲しみ、守れなかった悔しさ。
多くの感情が入り混じって、俺の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
俺だけじゃない、特にライムや四番隊の団員達はみんな号泣していた。
俺は息を切らしながら、激しい怒りをぶちまけた。
「俺の怒りを、お前らの茶番と一緒にするな」
茶番だと!!!? コイツ!!! どこまで俺の神経を逆なでしやがるんだ!!!
「何だとテメェ!!! もう一回言ってみろよおおおお!!!」
怒りが頂点に達した俺は、我慢できずに殴りかかっていった。
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