第31話 決着と最期
「邪魔だ!!! 死ねやあぁぁぁ!!!」
俺達の猛攻が続く中、ポセイドンの鎌がマインの腹をついにとらえてしまった!!!
「カハッ!!!」
「マイン!!!」
俺が心配して叫ぶが、マインは怯まずに最後の力を振り絞り、ワイヤー状にした電気エネルギーを、ポセイドンの首に巻き付けた!!
ポセイドンは苦しさと痺れで悲鳴を上げていた。
「シリウスくん……! とどめを……!」
マインがとどめを促す!!
俺は『ブースト・強』を発動させると、ポセイドンの水撃を死に物狂いでかわしながら突撃!!! 一気に接近すると拳を振り上げた!!!
「コイツ!!! また同じ攻撃か!!!? さっきので学習してなかったのかぁぁ!!!?」
俺は、この右の拳に、今までこの世界で出会った仲間たちの思いを全て込めた!!!
「うおおぉぉぉぉ!!!」
「なんだよコイツ!!! 何で右腕が発火してんだよ!!!? しかも青いし!!! ここは海の中だぞ!!!」
「それにコイツの体、光ってんじゃねぇかよ!!! 頭に星型の変な模様も出ているし!!! どうなってんだ!!!?」
俺は今までに無いぐらいの、渾身一撃をポセイドンの顔面に叩きこんだ!!!
「グギャアアアア!!!」
一撃を食らったポセイドンは、体が吹き飛び、絶命した。
「そんな……馬鹿な……! この俺が、人間とそれに従うモンスター如きに……!」
ポセイドンは、死に際にそんな事をほざいていた。
「倒した……のか?」
俺は今自分に起きた状況を呑み込めていなかった。
しかし、すぐに我に返った。
「そうだ!!! マインは!!!?」
俺が周りを見渡すと、いた!!! 衝撃で吹き飛ばされて、海底で横たわるマインの姿があった。
「マイン!!! ひどい怪我だ!!! 今すぐライムに手当を……!!!」
俺はマインを抱えると、ライムの倒れていた方に泳ぎ出す。
「どこだよ、アイツ!!! どこにいるんだ!!!?」
俺は必死でライムを探すが、なかなか見つからない。
すると、さっきまで目をつむっていたマインが優しい表情で俺の顎を撫でた。
「もういいんだよ……雄心……」
「……!」
マインは死期を悟ったのか、今までで一番温かい表情だった。
「冗談じゃねぇ!!! 俺はアンタの息子だぞ!!! もういい訳ないだろ!!!」
「頼むから死なないでくれ!!! 頼む!!!」
俺は涙を流しながら、死にゆこうとするマインに呼びかけた。
「俺が死んだせいで、アンタを不幸にしてしまった……」
「アンタはずっと、何十年も後悔してきたんだよな……」
「なのに俺は、アンタに何も出来ていない!!! だから、もっと親孝行したいんだ!!!」
すると、それを聞いたマインは優しくほほ笑んだ。
「親孝行か……それなら十分に受け取ったよ……」
「確かにあなたが死んだ時は辛かった……自分の教育方針についても、あなたとの接し方についても、いっぱい後悔したよ……」
「でもね、この世界であなたと過ごした一か月間を振り返って、あなたと再開できた時、確信したの……」
「わたしは間違ってなかったんだって……」
「……!!!」
俺の目から大粒の涙が溢れてくる。
やめろよ、そんな事ゆうなよ!!! 俺はアンタに生きていてほしいんだ!!!
その間にも、マインは吐血していたが、話を続けた。
「わたしはこの世界で生まれ変わって……なんで……前世の記憶が……あることが……分からなかったし……コンプレックスだった」
「でも……今は違うよ……この記憶は……あなたと再開……させるための、神様からのプレゼント……なんだって……逆に誇りに思えた」
「それに……目の前にいるあなたは……本当に立派で、優しくて、強い、わたしの……自慢の息子だった」
「二度目の人生で……あなたの……成長がみられた……わたしは……もう後悔……なんてない……だから……わたしは笑顔で……逝けるよ……」
「母さん……!!!」
マインの体がどんどん冷たくなっていく。
やめろ!!! 冷えるな!!! 俺はマインの体を必死になって摩る。
「俺はもっとアンタと話したい事がいっぱいあるんだ!!! だから逝かないでくれ!!!」
俺の叫びもむなしく、マインの意識はだんだんと薄れていく。
「最後に良いかな……?」
マインは薄れゆく意識に中、最後の言葉を絞り出す。
「わたしが死んだら……後に残った四番隊の……副隊長ライムを……支えてあげてほしいの……あの子は……すぐに抱え込んじゃうから……」
「それと……総帥には……どんなに……辛くても自分をしっかりと……持っていてください……と伝えてほしいな」
「それに……雄心……あなたも……転生者なら……つらい事、悲しい事、沢山あるかもしれない……でもこれだけは忘れないで……」
「天国でも……お母さんは……あなたの……味方だから……」
「母さん……!!!」
いよいよだね。
わたしの意識が薄れていく。
その時、暗い海の底なのに、上から光が差し込んできた。
そこには懐かしい男性が手を差し伸べてくる。
「あなた……」
そうか、わたしの人生に、もう未練はないんだ。
だから、迎えに来てくれたのかな?
(あなた、雄心は立派に成長したよ! 今度こそは一緒に見守ろうね)
そうして、わたしは微笑みながら目を閉じた。
「母さん……!?」
「嘘だよな……母さあああああああん!!!」
こうして、グロリア冒険団四番隊隊長マイン・ミルは、かけがいのない自慢の息子の胸の中で、静かに息を引き取った。
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