第22話 先人の記
俺達五人は、順調に海底神殿を目指して深海を進んでいた。
すると突然!!
「海流だ!!」
なんと、俺達は激しい海流に飲まれてしまった。
「クッ!! なんて流れよ!!」
「みんな、しっかり摑まれ!!!」
俺はソフィアに近づくと、彼女の手を握りしめた。
「え!!? 何すんのよ!!」
「今は嫌がってる場合じゃないだろ!!!」
俺達は身を寄せ合って耐えるが、海流はさらに激しさを増す!!
「まずい!!! 手が離れるぞ!!!」
「クソッ!!! もう手に力が入らねぇ!!!」
そして、俺とソフィアは手を放してしまった。
「しまった!!! ソフィア!!! 総帥!!!」
「シリウス!!! マイン!!! ライム!!!」
俺達は散り散りになって、海底に流されていった。
目を覚ますと、そこには神殿の様な景色が広がっていた。
「そうだ!!! みんなは!!?」
俺はあたりを見渡すが、生き物の気配すらない。
「シリウスくん!!!」
その声はマイン!!! それにライムも!!!
「良かった!! 二人とも無事だったんだな!!」
俺はつい二人を抱きしめる。
「そういえば、ソフィアと総帥は!!?」
すると、二人とも暗い顔をして、首を横に振った。
「分かりません。あの海流で別の所に流されたのかも……」
ライムは口を開く。
「取り敢えず、三人で手分けして探してみようぜ!!」
「わかった」
俺達は探索がてら、二人の捜索を行う。
しかし、一時間探しても見つからない。
「駄目だ!! どこにもいねぇ!!」
そんな時、俺はウォーターガムの事を思い出した。
「そういえば、二人ともウォーターガムの効果は大丈夫なのか?」
そうだ! 俺と違って、二人は水中で呼吸する事が出来ない! このままここに留まっていると溺れてしまう! マインは身に着けていた水中時計を確認する。
「海に入ったのが、丁度午後の一時で、今が午後六時。後半分だね」
嘘だろ!! もう半分立ったのか!! 呑気に気絶してる場合じゃなかったぜ!!
「ヤベェよ、早くリバイアサン倒して海から出ねぇと、みんな死んでしまうぜ!!」
でもどうすんだよ!! ここが本当にリバイアサンの住居なのかも分かんねぇのに!! て言うかここ何処だよ!!
「ああもう!! どうすりゃいいんだ!!!」
俺は焦りと苛立ちで頭を掻きむしる。
「見て下さい!!!」
その時、ライムがある壁画の前で呼びかけた。
壁画には何か書かれてある。
「古代文字か? なんて書いてあるのか、全然分からん」
俺が首を傾げていると、ライムが口を開く。
「これ、わたし読めます……」
「えええええ!!!」
マジかよ!! ライムの奴!! この訳の分かんねぇ文字が読めるのか!!
「ライムは凄く賢いんだ! この国の歴史についてもよく知ってるし」
すげぇな、ライムは勉強熱心なんだな。
俺もコイツみたいに勉強するのが好きだったらな。
「取り敢えず、解読よろしく!!」
「はい!」
ライムは文字を読んでいく。ライムの解読によれば、その書いた人たちは、ここに住んでいた訳ではなく、ここを訪れた際に記した物らしい。
「つまり、以前からここは海の底で、俺達の前にもここに来た奴らがいた。そういう事だな」
「はい。この記述が書かれた頃にはここは海の底だったみたいです」
ライムはその後、解読を続ける。
「九時間前、私達は海底神殿にたどり着いた」
マジか!? やっぱりここ海底神殿だったのか!! これでリバイアサンに一歩近づいたぜ!!
「そこは、不思議な場所だ。日が差していない深海にも関わらず、周囲は明るく、見渡しが効く」
「私達は進んだ。神殿の最奥は、広大な部屋となっており、中央には大きな箱があった」
「私達は喜んだ。箱の中には金銀財宝が詰まっているに違いない。しかし、箱を開けてみれば、その浅はかな喜びは絶望へと変わる」
すると、ライムは突然解読をやめてしまった。
「ライム? どうした?」
「あの、それがこれ以降の文章は、グチャグチャになっていて、読めません」
本当だ。
グチャグチャになってる。
だが、ここが海底神殿と分かった事が大きな収穫だ!!
「よし! ここがリバイアサンの住居だとわかったら、後は早くアイツをやっつけて、みんなと合流するぞ!!」
「お~!!!」
俺達は片手を突き上げて、己を鼓舞した。
「でも、リバイアサンは何処から出てくるか分からねいよ。気を付けてね」
マインはそう、注意を促した。
流石隊長、注意を怠らないな。
「まず、奥の広い部屋を目指してみよう!! リバイアサンがいるかも知れないぜ!!」
俺達三人は、神殿の奥へと進むのだった。
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