SS-6 女難の相 ︎︎上

「あー暇、マジで暇。こんなことならもう一本電車遅らせれば良かったな」



 なんて小言が漏れ出てしまうくらい俺は退屈を極めていた。


 予約した時間よりも少し早めに着いておいた方が良いだろうと思っていたらまさか一本分早く乗ってしまうとは。


 これでは予約した時間まで何をして待てばいいのか......



「別にスマホゲーとか入れてねぇし、ようつぺとか見る気分でもねぇし」



 ノリィと仲が良いが、俺はそういう娯楽系とは縁遠い人間だ。

 あいつの話を面白半分で聞けるのは、そういう軽さが理由の一つなんじゃないかといつも思う。


 だが、今の状況的にその話をもっと親身に聞いておけば良かったと後悔した。こういう時に思いつくものが何もないというのは流石に縁遠すぎるだろう。



「なんか暇潰せるいい感じの店とかないもんかな.......」


 俺はあっても無くても別にどちらでも良いの精神でテキトーに駅前の散策を始めた。時間にしておよそ五分も満たない時間、謀らずして丁度よさそうな店を見つける。



「『霊能力者の館!!貴方の運命の人!見つけます!』ってか」



 見るからに胡散臭い。



 建物と建物の隙間にある絶妙な間を設けて作られたような掘っ立て小屋のような場所。

 絶対ここに建てるべきじゃないだろと思いつつも、商売が出来てる時点で生計は建てれているのが分かるのでスルーする。


 店は開店中の看板が引っ提げてあるので多分今の時間でも入れるのだろう。念のため言い訳を考えておきながら店に入る。


「おじゃましまーす」


 店内は思ったよりちゃんとしていて、それっぽいポスターや数珠、水晶玉がそれとなく飾ってあった。見た目だけなら本物っぽさが見える。



「あら、お客さんね。いらっしゃい」



 そしてカウンター奥には一人のお姉さんが座っていた。顔にはギリギリ顔立ちが分かるくらいのピンク色の薄布が被せられており色々と卑猥に見える。そして呪詛師とかそういう系の関わって良いのか議論するレベルの羽織を身に付けていた。



「あの、看板見てきたんですけど、営業中でしょうか?」


「ええ、勿論。占いを受けに来てくれたのよね?」


「あ、はい」


「それなら私の前の椅子に座ってくれないかしら」


「し、失礼します」




 俺は占い師のお姉さんの目の前に座る。


 机の上にはランチョンマットのようなものが轢かれており、その上には金属製の台座に支えられている水晶玉が乗っかっていた。



「じゃあ、今から貴方の運命の人を占っていきますね」


「え?運命の人?」


「私は恋路専門の占い師なの。看板にも一応書いてあったはずなんだけど.....」


「そうなんですか......」



 しっかりと店の案内を読んでないのが仇になってしまった。でもまぁこれも一興と言えるし、最近は女の子と関わる機会が何故か多いし無駄になることは無いだろう。



「えっと、じゃあお願いします」



<あとがき>

あ......どうも、ご無沙汰です。

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