俺に恋愛相談するのやめてくんないかな!?皆謎に距離近いけど!?

Vanity慨destroyer

SS-1〜5 美久の4つの質問・突撃!女子三人組!!・モブと侮るなかれ・ノリィの質問コーナー・中瀬デート午後の部

※SSは本編ではありません。



「ねぇちょっと聞いてるの?」


「お、おう。聞いてるけど」


「それでねーー」


 今は俺は親戚のカフェでバイト中だ

 ただのバイトなのに受付に立たされ

 髪をセットしコンタクトを付けながら

 仕事をこなしている。


 バイトの話が来た時は裏方だと思っていたのに

 蓋を開けてみればこれだった


 さっきから上機嫌に俺に話しかけている女は

 俺の従姉妹にあたるらしくこのカフェの看板娘

 前は受付3割、調理7割だったのを

 最近受付10割に変えた。


「なんで受付一本にしたんだ?お前デザート作るの楽しいって言ってただろ?」


「ここにいる理由ができたの!」


「それって聞いて」


「次聞いたらバイト代減らすからね?」


「.....................」


 というやり取りをしてから

 その話にはもう触れていない


 前はこんな感じで俺に厳しかった気がするが

 最近柔らかくなってきた気がする。


「ne..............t......r?」


 ああそうだ。話聞いているのを忘れていた。

 意識を会話へ集中させることにする。


「セイはどれ?」


「え?ご、ごめんもう一回だけ言って?」


「恋人が魔法にかけられてしまいました。犬、馬、牛、鹿のどれに変身させられましたか?」


「え?何その質問?意味分かんないんだが」


「うっさい!早く答えて!」


「っと.......犬で」


「ふぅーん、そうなんだぁ..........」


 そう呟いた彼女は俺の背中に

 回り込み抱きついてきた


「は?お、お前何してるんだ?」


「お、お腹よ。お腹を温めてるのよ!」


「え?ああ、はい」


 はっきり言って理由としては意味不明な答えだが振り向くと不満そうな顔をするのでスルーすることにした。


「ま、まだ質問はあるわよ?」


「まじかよ、じゃあさっさと答えるから早く言ってくれ」


「白いバラと赤いバラを使って、相手に花束を作ることになりました。バラの本数は合計20本の時、白いバラは何本入っていますか?」


「んー0本で」


「な!?.....ま、まぁ良いわよ私とは抜群ってことで」


「え?どういうこと?」


「まだあるわよ!前向いてなさい!」


 ちょっと美久の機嫌がわからなくなってきた。

 とりあえず黙って質問に答えておこう。


「あなたは、草原で四つ葉のクローバーを探しています。何個見つけることができましたか?」


「............12個かな?」


「12個!?嘘でしょ!?そんなにいるの?」


 なんか腕の力が更に強くなった気がする。


「なぁちょっと力強くないか?」


「うっさい!あんたは前向いてなさい!」


 俺いつまでこうしてるんだろう


「最後の質問よ.....庭を進むと、あなたは自分が水の中にいることに気がつきました。それは水たまり、池、湖のどこですか?」


「ん............湖だな!」


「な!!??...........あんた.........」


「そりゃ住むなら俺はでっかい」


「あんたサイテーよ!!!!!!」


 そう叫ぶと腕を離して俺の正面に回り込み

 かなり力の入った腹パンをかまして

 そのまま厨房へ駆けていった。


「ぐふぅ..............」


 俺ただ質問答えてただけじゃん...........





 美久に理不尽な扱いをされたことで

 何も進歩していないと悟る大晴でした。



 <あとがき>

 1万PV記念SS

 時間軸は13話と14話の間



 ちなみに質問は心理テスト


 1つめの質問

 恋人に求めるもの

 犬. 愛情

 馬. パワー/経済力

 牛. 誠実さ

 鹿. 外見/容姿


 2つめの質問

 白い薔薇.尽くし度

 赤い薔薇.尽くされたい願望


 3つめの質問

 あなたを好きな人の数


 4つめの質問

 性欲の高さ








SS-2 突撃!女子三人組!!







「ふぁあ..........」


「ちょっと何あくびしてるの!シャキっとして!」


「へいへい.........ふぁぁ......」


「起きろぉぉぉ!!!!」


「ちょっ痛いって!何かあるたび殴るな!」


「体で分からせるのが一番でしょ!」


「その見た目で分からせるとか言うなよ......」


「何?なんか文句あるわけ?」


「綺麗な美久様にそんなこと言うわけないじゃないですかー」


「ふふん、そうよね!」


「はいチョロい〜」


「あ!?何か言った?」


「何でもないですぅ」


「あら、そう」


 というわけでいつもどおりチョロい美久は置いておいて、今俺はものすごく眠い。昨日というか今日徹夜でFPSをぶっ通したせいだ。睡眠時間とは本当に確保すべきなんだなと身に染みて分かった。もう二度としない.......多分そうかも知らんけど


「土曜日って基本的に朝食前後とおやつタイムくらいしか人こないから暇が多くて楽だわー」


「別に暇なことが良いわけじゃないだろ?収益に関わってるんだから」


「それはパパとママに任せとけばいいから」


「家業継ぐって言ってたよな?薄記とかやってないのか?」


「一応やってるわよ..........一応」


「中途半端じゃねぇか」


「うっさいわね!馬鹿!」


「へいへい......って来たぞ」



 カランカラン



「いらっしゃいませー!.......って君たちは」


「「「こんにちは!お兄さん!」」」


「こんにちは、3人共元気そうで良かった」


 仲の良い三人組で俺のことを『お兄さん』と呼ぶ女の子達といえば一組しか思い当たらない。中瀬さんとのデートの時に逆ナンしてきて、そのままカフェでお茶をした子達だ。


「え?ちょっと!あんたこの子たち誰?」


「えっとそれは..........」


「お兄さんってば連絡先交換したのになーんにも返事してくれなかったので直接来ちゃいました」

「私も来てみたかったので来ました!」

「同じくです」


「そ、そうなんだ。でも本当に来るとは思わなかったよ」


 あの時、確かに来てもいいよ的なことは言った。だが、会って一時間にも満たない人の働くカフェに行くとは思うはずないだろう。


「行くに決まってるじゃないですか!!」

「もちろん行きますよ!!」

「都合が合ったので」


「あ、ありがとう。嬉しいよ」


「「「照れてる顔もカッコいいですね!」」」


「君たち息が合いすぎじゃないか?」


「そ で   で

「 う  な  す

「   も い  よ」


「え!?なんて言った今?」


「えっと.....私が『そ、で、で』を言って」

「私は『う、な、す』で」

「『も、い、よ』です」


「う、うん」


「でこれを合わせると」


『そうでもないですよ』


「刃◯のマ◯スじゃん」


「「「そういうことです」」」


「君たちの仲の良さが十分に分かったよ........」


『またまたーそんなこと言っちゃって』


「ちょっとそれ頭割れるって!やめて!」


『結構便利なんですよ。すぐ男が逃げ出すので』


「それはまぁ..........うん」


『なんでですか?』


「いやそれやめようね」


「はい分かりましたぁ」

「私もやめます!」

「そうですね」


「もうあんまりやらないでね」


『分かりました』


「フリじゃないからね!!!」



「ねぇ!!!だから何!?この子達は!!!」








 三人組が想像の何倍も仲が良いことを知って内心ドン引きした大晴と忘れ去られている美久でした。




 <あとがき>

 2万PV感謝・週間ラブコメ47位感謝


 時系列は最低でも14話以降

 元ネタを知りたい方は

『リップ トゥース タング』 

 で調べてください。








SS-3  モブと侮るなかれ






「はぁ..................」


 俺が何をしたっていうんだろうか


「ブルーマウンテンだぞ..........しかもNo,1の」


 突如として始まった喧々囂々けんけんごうごうの争いを止めるために、わざわざこの店でもかなり高い豆である『ブルーマウンテンNo.1』を使った。一杯でも高いのに三杯となると馬鹿には出来ない値段となる。


「どうせ......俺が払うんだろうなぁ.....」


 さっきの美久の感じ、恐らくだが3人が注文していないのに俺が勝手にコーヒーを出したことに気づいている。十中八九払わせてくるだろう。


「えっとブルーマウンテン三杯の値段はぁ......」


 メニュー表から確認しながらささっと計算する。


「うぇ.............1400円かぁ......」


 本当にコーヒー三杯でこの値段とか馬鹿げてる。俺の一時間のバイト代余裕で吹き飛ぶほどの値段、普通に泣きたい。


「会計お願いするわね」


 とはいってもサボることは許されない。例え今のように気分が死んでいたとしても受付の仕事は俺が果たさなければならないからだ。


「お会計は640円です。お支払い方法はどうされますか?」


「現金で大丈夫よ」


「左様でございますか」


 置かれた小銭と札をササッとレジ打ちして会計を済ませる。


「お釣りの400円です。お確かめに」


「はい、ありがとうねいつも」


「いえいえ、こちらこそご利用ありがとうございます」


「おばさん、さっきの見ていたけどすっごい男前だったわよ」


「あ、ありがとうございます」


「あんな可愛い女の子達そうそう居ないから逃しちゃだめよ♡」


「は、はい.........」


「もしかして全員手出してるのかしら?」


「い、いえ決してそんなことは」


「でも分かるわよぉ........私もあと20年若かったら君を食べちゃってたかも♡」


「は.........はい」


「ふふっ♡冗談よ」


「そ、そうでございますか」


「それじゃあお暇しますね」


「またのご来店お待ちしております」


 カランカラン



「御婦人はノリが軽くてやりづらいな」


 独特なコミュ力を持っている御婦人方は俺のような陰キャと相性が悪い。久しぶりに親戚と会話する時に何を言って良いのか分からなくてたどたどしくなるのと似ている。


「お会計お願いできるかな?少年」


 そして次に立っていたのは最近良く見かけるサラリーマンの人、黒髪七三分けの前髪が目立つスーツの似合う男性だ。


「お会計は210円です。お会計は」


「電子マネーで頼む」


 ピロリン♬


 電子音が鳴って会計終了の文字が表示される。


「いつもご利用ありがとうございます」


「気にしなくてもいいぞ少年、私も過去に忘れていた何かをここで見つけることができたからね」


「は、はぁ」


「時に少年、君はあの娘達とどういう関係なのかな?」


「え!?......友達ですね......従姉妹もいますけど」


「ふぅむ.........これから先に進みたいと思える子はいるかね?」


「......いませんね......申し訳ないですけど」


「私には分かるよ。君は必ず大きな選択をすることになると」


「???」


「今は分からなくてもいい。まだ君は正解の方向が分からないまま海へ出た1人の船乗りだ。だがやがて指針が見つかれば自ずと正しい道に進めるだろう」


「???」


「君がどの指針を選ぶのか......非常に楽しみだよ」


「は........はい」


 そう言って彼は踵を返して扉に手をかけた。


「最後に一つ言いたいことがある」


「は、はい!」


激旨展開リアルラブコメを見せてくれてありがとう」


「は.........はい?」


「ではまたラブコメの波動を感じた時に」


「ま、またのご来店お待ちしております」



 カランカラン



「え!?まじであの人何者だ?」








 おばさんとのコミュ力の違いに圧倒され、常連のサラリーマンに意味深なことを言われ混乱に陥る大晴でした




 <あとがき>

 3万pv感謝! 週間ラブコメ39位感謝


 時系列は第19話の受付戻されてから後


 本作で個人的に好きなキャラ1位

『常連客のサラリーマン』








SS-4 ノリィの質問コーナー









 こんにちは、ノリィさん


「こんちは!まさか俺の為にこんなコーナーが開かれるなんて思いませんでしたよ!!!」


 もちろんノリィさんのことを皆知りたいからに決まってるじゃないですか笑

(本当はネタが無いからとか言えない.......)


「なるほど、やはり俺が主人公ってことですね?」


 ????


「ほら考えてみてくださいよ?主人公より先に質問コーナーを開かれるなんて愛されている証拠じゃないですか!もはや俺が主人k......」


 というわけで題名の通り

 早速質問に移りたいと思います


「ッハ!一瞬意識が飛んでました!!」


 はいそうですね〜じゃあ行きますよ〜


「任せてくださいよ!団長!」





 Q.あなたの名前は何ですか

 A.俺の名前は清水典明しみずのりあき、一般男子高校生さ

 ※嘘です、彼は一般男子高校生キチガイです。


 Q.最近の趣味を教えて下さい。

 A.最近の趣味は筋トレと動画鑑賞かな?

 ※筋トレ△ リリィへの感謝1万回突き◯

 ※動画鑑賞△ リリィちゃん無限耐久◯


 Q.将来の夢はなんですか?

 A.まぁ俺は?将来?有望の?男なので?

 もちろんリリィちゃんの旦那ですよ!!!

 ※叶いません


 Q.好きな漫画を教えて下さい

 A.◯◯◯ー◯◯ー◯◯ですね

 ※丸には全て同じ文字が入ります


 Q.普段の休日は何をしていますか?

 A.休日?まぁ別にありきたりですけど


 まずはウォーキングで朝のリズムを作りますね、その後帰ってシャワーを浴びた後に読書をして英気を養います、昼食には健康に気を使ったヘルシーな食事を食べまして。午後にはジムに通って徹底的に体を鍛え上げた後、スパで凝り固まった体をほぐし、帰りはショッピングって感じです。まぁ別にありきたりな内容ですけど


 ※全部嘘です。テキトーにでっち上げました。



 Q.あなたの座右の銘などを教えて下さい。

 A.推しは推せる時に推せ.......ですかね?

 ※これはガチ


 Q.あなたの性格は自分ではどんな感じだと思いますか?

 A.冷静沈着、頭脳派

 ※言わないくていいよね


 Qリアルで友達は何人ほどいますか?

 A.この世の全てが俺の友達さ

 ※思い込みです


 Q.あなたの外見は5段階評価だとどれくらい?

 A.五じゃ足りないので10ですね

 ※質問を理解していない


 Q,常識や非常識という言葉をどう思いますか?

 A.常識を決めるのは自分自身なので関係無いですね

 ※他人忘れてるぞ



 Q.社会に関する不満があったらどうぞ

 A.推しのグッズがすぐ売り切れる世の中は

 一旦死んだほうが良い

 ※黙れ


 Q.部屋の掃除はしていますか?

 A.いつリリィちゃんが来ても良いように綺麗にしてます

 ※来ません


 Q.犬派?猫派?

 A.猫派ですね

 ※本当は犬派ですがリリィちゃんが猫好きなので嘘をついています。


 Q.加賀美大晴君に対してどう思いますか?

 A.その恵まれた位置を譲って欲しいです

 ※タイトル潰れるだろが


 Q.学校の四大アイドルについてどう思いますか?

 A.リリィちゃん>>>>>越えられない壁>>>>>>四大アイドル って感じですかね

 ※強いフィルターがかかっています


 Q.加賀美大晴の働くカフェに行ったことはありますか?

 A.一回行ったっきり出禁になりました

 ※SSで書く予定


 Q.いつも意味不明なネタが多くてよく分かりません。もう少しわかりやすい言葉で話してくれませんか?

 A.黙れ、◯すぞ

 ※彼はそういう人なんです


 Q.タイトル回収はいつですか?

 A.俺に聞いて分かるわけねぇだろ!!!!

 ※二章からです


 Q.なんで髪切ったんですか?(23話)

 A.親に脅されました。

 ※そしてその親を脅したのは作者


 Q.早く良い所見せてください

 A.俺いつもカッコよくない?

 ※自意識過剰系男子の例




 質問は以上です。ありがとうございました。


「この程度造作もないですよ。まぁこれで主人公に1歩近づいたと思えば......」


 主人公は交代しませんよ?


「嘘ですよね」


 ほんとです







〈あとがき〉

 4万PV感謝、週間ラブコメ34位感謝

 あと少しであと少しで1章が終わる........












 SSー5 中瀬デート午後の部








「お昼も食べましたし、次行きましょう!」



 そう言う彼女に連れられてやってきたのはショッピングモールを出てすぐの場所にある複合レジャー施設だ。


 ここでは、バトミントンやテニス、バレーボール、バスケットなど様々なスポーツを遊ぶことができるエリアの他に、シューティングゲームやレースゲーム、音ゲーの他にダーツやビリヤードができるアミューズメントエリアが隣接されている。


 しかも時間内はそれらすべてがやり放題、使いたい放題の何とも太っ腹な施設なのだ。




「今日はこれもあってお団子にしてきたんです。どうです?似合ってますかこの服?」



「うん、とても似合ってるよ。スポーツ用の服を買った時点で何となく予想はしてたけどね......」



「どうかしました?別におかしいところはないと思うんですけど......」



「全然おかしいところはないよ。どちらかといえばの問題」



「????」



 そういう俺たちは先程のショッピングモールで買ったスポーツウェアに着替えていた。俺は別に何ともない服装なのだが、スポーツウェア特有のぴたっとしたラインが中瀬さんのモデル級のスタイルをこれでもかと強調していて......



「「「「チラッ.......」」」」



(まぁこうなるよな......)



 店中のほとんどの男の目線を掻っ攫っていた。



(んーまぁとりあえず)


「俺一旦更衣室戻って忘れ物取ってくるよ」


「はい、分かりました。ここで待ってますね」



 俺は男性更衣室に戻り、夜の冷え込み対策で一応持って来ていたメッシュ素材の軽い上着を手に取った。



(あのままじゃ誘ってるもんだからな......)



 俺が男性更衣室から出てみると奥に人だかりが出来ていた。もし俺の予想が正しければあの中心にいるのは......





「あの!やめてください!」



「いいじゃん!俺と遊ばねぇか?楽しませる自信あるぜ?何なら夜も」


「おい待てよテメェ!俺たちと遊ぶんだよ!」

「先に目をつけてたのは俺たちだ!」

「邪魔な奴は引っ込んでろや!!」


「こんな下品な人達なんてほっておいて僕と遊ばないかい?僕色々と詳しいから頼りになると思うんだけど?」



「い、いや私今日彼と来ていて......」



「別にいいじゃねえか。そんな奴ほっといて俺と遊ぼうぜ!」


「さっきのヒョロガリなんてどうでもいいじゃねぇか!」

「俺たちの方が100倍楽しませてあげるよ?」

「早く行ってたっぷり遊ぼうや!」


「あの程度の男なんて僕の足元にも及ばないよ。さぁ僕と一緒に行こう!」





 案の定中瀬さんが数人の男たちから言い寄られていた。まぁ俺がいなくなったから今のうちにナンパしとこうとか軽はずみにそんなこと考えてたんだろうな。



「でも今日はデートなんでね......退場してもらわないと」




 俺は人だかりに向かってゆっくりと歩いていき一番近くにいた奴の肩を掴んだ。


「おい、俺の連れに何してんの君たち」


 一斉に視線が俺に向いたのが分かった。



「あ?なんだお前。こっちは忙しいんだよ!帰れや!」


「ヒョロガリはお呼びじゃねぇよ!」

「てめぇはさっさと消えろ!」

「俺たちの邪魔すんじゃねぇ!!!」


「君か......僕に何か用かな?君に全く興味はないんだけど」



「セイ君.......ごめんね。こんなことになって......」


「気にしないでいいよ。所詮ここにいるのはマナーのなってない愚図だから」



「「「「「あ?」」」」」



「聞こえないのか?愚図共どこでナンパしてんだよ。こんな所で言い寄ってちゃ店側は迷惑極まりないだろ。それに、初対面の相手になびくほどこの子は簡単な女の子じゃないぞ?分かったら身を改めて視界から消えろ三下が」



「「「「「........」」」」」


「セイ君......それ以上は......」



「お前らみたいな私利私欲で店側の迷惑とされてる側の迷惑を顧みない奴らがいるから何時までたっても安心出来ないんだ......ナンパなら他所でやれ、少なくともここでやるもんじゃないだろ」


「...........さっきから聞いてりゃぬけぬけと」



「お前らがその子に絡んでなきゃこうなってねぇだろ。俺の連れに手出してる方が悪いに決まってんじゃん」



「.............てめぇ!!!」



 一人の男が堪忍袋の緒が切れたようでいきなり殴りかかってきた。なんか物騒なことに今日は巻き込まれる日なのかもしれない。


 俺は迫る拳を左手で受け止めた。



「なっ!!!!」



「まず握り方が違う。それにフォームも違う。重心の移動も違う。足腰も終わってる。それに握力もこの程度か」


 俺はそいつの拳を上から潰すように握りこんだ。



「痛っっっ!!!!!!」


「おい。軽はずみなことするなよ」


 俺は更に力を込めてついでに説教もしておいた。


「痛い痛い痛い!!!!痛いって!!!分かったから離してくれ!!頼む!!!」


「ほらよ」


「はぁはぁ..........なんつう握力してやがる.......」



 俺が拳を握りこんだだけで戦意喪失させたのを見て他の男たちは固まっていた。



「どうする?お前らここで騒ぎおこしたいか?」



「チッ!邪魔したな!!」


「俺たちはこれで失礼するか.......」

「別にそんなでも無かったしな」

「そ、そうだよな」


「は、はは。中々やるようだけど別にそれくらいは僕だってできるしな!まぁ今日の所はここで引き返してあげるよ」



 男たちは一気に目が覚めたように散っていった。一件落着に見えて実は結構ギリギリだったりする。途中から店員さんも恐る恐るこちらを見ていたので、これ以上の騒ぎになることは控えたかったのだ。



「セイ君大丈夫!?......けがはない!!??」


 男たちがいなくなって彼女がそう話しかけてきた。瞳には心配の文字が浮かびあがるように俺の身を案じていた。



「ああ、別に問題はないよ。それと......これ」


「これは.......上着?」


「これを着ると良いよ。多分今みたいのを減らせると思うから......」



 彼女は俺と上着を交互に見つめると花開いたように笑顔になった。


「じゃ、じゃあこの上着着ていいんですよね!」



「え?だからその目的で持ってきたんだって」



「やったぁぁ!!!セイ君の上着ーーー!!」





 そう言うと彼女は上着を着用して



「さぁ最初は何をしますか!セイ君!!!」



 満面の笑みでそう言ったのであった。




 <あとがき>

 時系列は17話

 場面転換後の会話の回収


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