第15話


小さい頃、良くこうして、颯太の上に乗って遊んでいたのを思い出す。



あの頃は、恥ずかしいとかの感情はなくて、戯れているだけで楽しかった。



久しぶりに颯太の胸に耳を当てると、颯太の心臓の鼓動が聞こえてきた。



子どもの頃と同じだった、その音を聴いていると安心していた、けれど今は違う、もちろん戯れることなんてできない。



颯太の硬い男らしい身体に恥ずかしさを感じてしまい…



颯太は何も感じないの?



「 おも… 」


「 ご、ごめん 」


わたしのことなんて、ただの幼馴染としか思ってないんだろうな…


颯太のこと、興味がないなんてないよ、興味があるから颯太のこと、なんでも知っているんだよ


そして、気になるんだ。


颯太は床に置いたバッグの中から、ゴソゴソと大きな包みを取り出した。


「 これ!…歩美へ… 」


「 わたしに?… 」


「 開けてみろよ 」


「 ふぁッ!…あッ! 」


思いもよらぬ颯太のサプライズに声が出ない…


「 あのあと、渡瀬に付き合ってもらって、ショップを何件かハシゴして、ようやく見つけたんだ 」


ハコを開けると、中には…バッシュだ!


「 オレが歩美にもらったのと同じ、探すのに苦労したよ…サイズも分からなくてさ、渡瀬と歩美、同じくらいだから…それで… 」


嬉しかった!…


わたしの為に颯太が!?探してくれた!…

デートなんて疑っていた自分が情けなくて、バカなのはわたし…


ごめんなさい…


颯太の言う通りだよ


たぶんわたし…颯太のことを…


「 履いてみろよ…サイズ合うかなぁ?… 」

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