第14話

『タン タン タン…』


階段を駆け上がる音が聞こえる。


『カチャ…』



「 歩美!? 」


「 おかえり……遅かったね 」


「 ああ、渡瀬にバスケ教えてたんだ 」


「 知ってたよ 」


颯太はリュックとバッグを床に落として、ベッドに寝転んだ


「 なんだ、まざればよかったじゃん 」


「 だって、菜々美と颯太…楽しそうにやってたからさ、邪魔しちゃ悪いと思って… 」


「 なんだよ、邪魔って… 」


「 べ、べつに… 」


颯太は起き上がると、ベッドから降りて、うつむいているわたしを、下から覗き込んだ。


「 もしかして、歩美…妬いてる? 」


「 みッ!見るなッ! 」


わたしは颯太に背を向けた。


「 あ~…ズボしだろ? 」


「 べ、べつに!なんでわたしが…颯太なんかに… 」


「 顔に、書いてあったけどなぁ… 」


「 えッ? 」


「 う っ そッ! 」


「 コラ~!!このうそつき颯太! 」


思いっきり振り向いて、颯太に文句を言おうとしたつもりが、すぐ後ろにいた颯太にぶつかってしまった。



「イタッ!」「キャッ!」

『ドテッ!…』



その弾みでわたしと颯太は、床の上に倒れ込んでしまった。

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