第11話


ドアの隙間からふたりの様子を覗いていた。


「 よろしくお願いしま~す! 」


「 よ~し…じゃあはじめに…… 」


よく見えないなぁ、遠すぎて…

あッ!?向こうの扉が開いているみたいね


外から回って反対側からふたりの様子を見ることにした。


『ボンボンボンボン…コロコロコロ…』


「 あ~待って~ボールさ~ん!… 」


ドリブルの練習ね…


「 叩いちゃ駄目だよ、バレーじゃないんだから… 」


「 こうですか? 」


あはは…


菜々美へたくそ、まぁ人のこと言えないけど…


「 そうじゃなくてさ、ドリブルは手首を使って…ほら、こう!… 」


「 うわーせんぱい!すごいです~、手にはりついているみたいです~ 」


ふ~ん颯太、真面目に教えてるんだ。


でも、さすが颯太だね、カッコいいじゃない…


「 きゃー!…せんぱ~い! 」


「 渡瀬! 」


ハッ!?


つまづいて転びそうになった菜々美が、颯太にもたれかかって…な、何してんの!…


あのわざとらしいコケかた…


完ぺきに計画的だわね…


菜々美にやられた~颯太の腕を掴んでるし…


颯太も…菜々美の手を握ってるし!


なんかムカつく…


あーッ!…だいたい…


なんでわたしが、こんなところから隠れて見てなくちゃいけないのーー!?


バカらしい…


かーえろ…


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