第6話

翌日ーーー


今日は学校が休みの為、部活だけの日。


いつもなら颯太が迎えに来るのに・・

昨日のことがあるから、気まずくて先に家を出てしまった。


こんな時に限って重い荷物がいっぱい…


颯太のバカ…


そんなにバッシュが好きなら、颯太なんかバッシュと結婚すればいいんだ!


ブツブツ言いながら学校へ向かっていると、お弁当が入っている手提げと、ジュースが入っているリュックが同時に軽くなった。


!?・・


「 ほら、貸せよ 」


「 そうた!? 」


手提げが颯太の手に渡ると、自分のバックを地面に置いた


「 両手上げろよ 」


「 あ、はい! 」


言われた通りに私が両手を上げると、長身の颯太はいとも簡単に、わたしの背中のリュックを持ち上げ、腕から抜き取った。


「 まだ、体調不良なんだろ?無理すんな! 」


「 だって・・ 」


「 いくぞ 」


颯太は、何も言わずに、わたしの荷物を全部持って歩き出した。


昨日のことも、わたしが勝手に怒って、あんなこと言っちゃって、勝手に出てしまったのに…


でも、何も言わずに…


わたしは、いつものように颯太の横に並んだ。


「 颯太?…あの… 」


「 なんで怒ってんのか、わからなかったよ 」


「 昨日はごめんなさい 」


「 俺のほうこそごめん……それでさぁあのあと、考えたんだ 」


 颯太…


「 歩美のいちばん欲しいもの、何だろうってな、、けど、わからなかった 」


「 …… 」


「 それなのに歩美は、俺のいちばん欲しいものを知っていた…怒られて当然だよな 」


「?…」


「 オレ…いつも歩美に甘えてたんだって…

部活の時だって、完璧にこなしてくれてるし、歩美がいなかったらあんなにまとめられないよな、感謝してるぜ… 」


いつもの颯太じゃない…


西野先輩になってる…


「 ほら、颯太早くいこ! 」


「 おい、待てよ、このバッグめっちゃ重いから… 」


「もう、しょうがないなぁ、手のかかる先輩!…」


「 おい…歩美…なにを!?… 」


「 ひっぱっていってあげる! 」


初夏のせいなのか、荷物を苦しそうに持っている先輩の顔は真っ赤だ。


小学校の頃、いつもこうしてふたりで通ってたのを思い出す。

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