第11話 再開発

ぼちぼち歩きながらバルスを目指すクリス御一行、それを遠巻きについてくる騎士団。

鬱陶しい、実に鬱陶しい。地面に線をひき


「これ以上進んだ人は殺すよ」


騎士団が一塊になって震えている、異様な光景だった。

夜になると、道から少し入った所に小屋を立てて寝る、襲ってくる魔物はいないが盗賊はいる。


朝起きて小屋を崩していると、辺境伯様の馬車が止まっているのに気づく。


「クリストフ君 重ね重ね申し訳ありませんでした 一つだけエリザベスを連れて行ってやってはもらえませんでしょうか? 今こっちに向かっています」

「それではバルスで待ちます エリザベスか〜久しぶり 会うのが楽しみですね」

「ありがとうございます 早速迎えに行って来ます」

「バルスまで乗せてよ」

「もちろんでございます」



「お父さん お母さんただいま!」

「帝都は怖いよ もういかない」


それから帝都であった事、スージーも事、アンの事、アンズの事、魔物化の事。

これからの事、いっぱい話した。

「クリストフ 男の子になったんだね これからの事は自分で考えて 自分の思うようにしなさい 一つだけ約束して欲しい 自分よりも弱いものを大切にする事 神様に生かされている意味を考える事 忘れないで欲しい」

「クリスちゃん スージー アン アンズの事泣かしちゃダメ みんな辛かったら帰って来なさい それからエリザベスちゃんが来ると思うけど泣かしちゃダメ」

「お父さん お母さんありがとう でも直ぐには行かないよ エリザベスがボク達に馴染んで 決心が着くまでここにいる」

「そうしなさい」

「そうだ 少し早いがもうすぐ5歳だ 神礼の儀式を受けて来なさい」


おっといきなり来ました!ファンタジーの鉄板「ステイタス オープン」ですか?


「それって何するの? 何かもらえるの?」

「何にもないわよ ただ5歳まで生かしてもらった事を神様に感謝して これからもお願いします ってお祈りするだけよ」

「スキルとか貰えないの?」

「スキルって何かしら?」


今まで散々、ステイタスやらアイテムボックスやら試したけど、ウンともスンとも言わない。まあ魔法で収納とかは出来そうなんで、エリザベスを待つ間色々やってみようと思っている。


教会でお祈りの時間。

密かに、女神様がおりてくるとか、創造神様が語りかけてくるとか、期待したましたよ。何にもありません、ありませんとも。


でも想像通り、併設された孤児院はボロボロで、とにかくしっかりした建屋に改築し、院内の畑も整備しておきました。本当によろしくお願いします。

これを機に、バルス内のインフラ改善に取り組みます。

橋・石畳・城壁・広場・第二城壁の新設と城壁内の耕作地の整備、等流石に10日は掛かった。


意外なことに、収納魔法は簡単だった。魔法で袋をイメージしてそれに突っ込むだけでOK だった。空間として3次元なので時間軸のない空間らしく、時間経過は適用されなかった。これで発酵食品への近道は断たれた。時間軸追加のイメージが湧かず、自分の不甲斐なさにため息が出る。


第二城壁の内側の整備をしていると、辺境伯様の馬車が二台見える。


「クリストフ様 ただいま戻りました」

「ご苦労様でした エリザベス様もお久しぶりですね」

「しかしだいぶんと景色が変わりました 道を間違えたかと思いましたよ この規模だとすぐに20万人都市も可能です」

「クリストフ様 お久しぶりでございますわ 貴方のエリザベスですわよ」

「エリザベス 気が早いな」

「いいえおじい様 そんな事ございません 離れていた時間を私で埋めて差し上げるのですわ さっクリストフ様恥ずかしがらずに 私と熱い抱擁を」


辺境伯様そんな悲しい目をしないでくださいね。可愛らしじゃありませんか、唯我独尊系王道お嬢様、好感が持てますよ。


そんな二人は、熱い抱擁をするのであった。

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