第8話 バルス帰還
森の奥まで辿り着くため、帝国魔導隊が結成された。しかしながら魔物の前に無力で、次々と魔物に喰われていった。
この世界では、魔力というものが普通に存在する。それこそ空気中・水中・地中至る所にある。その魔力を体内に取り込み、力を付けた物が魔物と呼ばれている。つまり生物の進化系が魔物といえる。
魔法を使える人型生物も、カテゴリーとしては魔物に分類される。つまり僕も魔物です。
先天的に魔法が使える者もいるが、ほとんどの場合、後天的発現になる。簡単に言うと魔物を食い続ければ魔物になる。
この3週間の森の生活で分かった事は、魔物はとってもおいしい。それだけでスパイスが効いているので、塩コショウがいらない。ついでに魔物化した野菜も美味い。
スージーとアンの魔物化も進んでいるようだ。スージーのオッパイは濃厚になってきた、アンは動きが格段に良くなり、魔物と互角に戦えるようになっている。
おそらくこの森の、生態系の頂点がボクなのは間違いない。この頃はほとんど魔物に遭遇しない。狩の方法も、スージーがおとりで、アンが仕留めるスタイルに変わってきた。僕はもっぱら専業主夫、ヒモですよヒモ。
「あっ 逃げた クリス様 あんまりスージーさんに近づかないでください 魔物が逃げちゃいます」
「ごめんよ オッパイが欲しくてさ 次から気を付けるね」
魔物side
最近とてつもなく強いやつが来た。牛人のメスと、犬人のメス、人間の子供、3日分ぐらいの食事にはなるはずだった。このあたりで最強の大イノシシの巣の近くにねぐらを作り、あっさり大イノシシを仕留めやがった。しかも子供が強かった、大イノシシは自分が死んだのが分からなかったと思う。
こいつの恐ろしさはそこからだった。大イノシシを餌にオレたちをおびき寄せたのだ。みんな最高に警戒して近づいても、次の瞬間にはやられていた。この頃、犬人も強くなってきた、相変わらず牛人はうまそうだ。
あの3人を探してか、人間も森に入ってきているので食事には困らない。怪物を避け、人間を狩るこれでいこう。
「ねースージー アン 別の森に行かない?」
「最近クリス様は出番が有りませんから 退屈ですか?」
「一回街に出てお風呂にしませんか?」
「3人とも大きくなったみたいだし服も買おうよ」
「お金持ってきたらよかったね」
「だったらバルスに行きましょう クリス様は顔パスですから」
「場所が分かりませんよ どうしましょう?」
「大丈夫だよ 東大門から出たから 太陽って東から上がるだろ 朝日に向かって歩けばバルスにつくよ」
「さすが転生人は違いますね」
「それ内緒ね」
魔物化が進んだスージーはボクを抱えて、アンは周囲を警戒しながら進む。
「クリス様 臭くないですか?」
「全然 濃くていいよ」
「はいそこ!! いちゃつかない私はどうですか?」
「アンは 女の子のにおいがする」
「マーキングしよっと」
おっと、前に大きな犬?狼?が座っています。 ブンブンしっぽを振っているのでサイズの割にはかわいいもんです。
「アン あの子はオス? メス?」
「メスですね クリス様に発情してるみたいですよ 殺しましょうか?」
「連れていこうか アンの子分ね 名前はアンズ」
「アンズよろしくね」
「アン 今アンズに抱き着いた時 アンズと繋がった感じがした 気持ちが通じてるよ」
「おめでとうございます アンズは死ぬまでおそばを離れません」
なんやかんやでバルスに着いた。街中大騒ぎになっている。凄い人だかりで前にも後ろにも進めない。
アンズが大きな声で吠えた。僕を中心に半径2メートルぐらいの空間が出来た。
その隙間に野良犬が入り込みさらに空間を広げる。そのうち屋敷への道を犬たちが造り出した。
屋敷の前では、お父さんとお母さんが並んで泣いていました。
「ただいま お母さん」
「クリスちゃん 食事にする お風呂にする それとも」
お母さん、モジモジシナイデください、それともなんでしょうか?
「お風呂にします スージー アン アンズも一緒に入ります」
「そうね みんなドロドロね 綺麗にしなくちゃ」
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